エウロパ_1

2003年に運用が終了した木星探査機ガリレオについて、衛星エウロパの観測を行った際に地表から吹き出す間欠泉の中を通過していた可能性があるデータが示されていたことが明らかになりました。

国内外の複数メディアによると、ミシガン大学の宇宙物理学者が率いる研究チームはNature Astronomyに掲載された論文として、1997年12月16日に木星の衛星エウロパに対してフライバイによる接近観測を行った際、観測された磁場のデータに歪みが生じていたことについて、地表から吹き上がった間欠泉の中を通過した可能性が高いと結論付けているとしています。

Evidence of massive water plumes on Jupiter moon Europa boosts hopes for finding alien life - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
木星の衛星エウロパに間欠泉? 20年前のガリレオ観測機のデータに痕跡を発見

これは研究チームが探査機ガリレオが合計で11回行ったフライバイによる観測の中に噴出する間欠泉の痕跡が含まれている可能性が高いとして研究を進めたもので、1997年12月のデータでは赤道を通過したときに磁場が急速に減少するデータが得られていました。謎の現象について研究チームはモデル分析を行った結果、間欠泉の中を通過した場合にこのようなデータが示されることがわかったとしています。
また他のフライバイでは磁場の歪みは示されなかったとしており、その理由として地表に最も近づいたのが1997年12月の観測だったためと考えられています。

▼地球と月、エウロパのサイズ比較
エウロパ

エウロパの間欠泉に関しては2017年にハッブル宇宙望遠鏡による2016年の観測データからエウロパの表面からおよそ100kmの高さまで吹き上がる水の噴出(間欠泉)と考えられる現象を再度観測したと発表しました。NASAは2013年に同じくハッブル宇宙望遠鏡を使用した観測から地表から200kmまで昇る現象を3度観測していた他、2014年にも48kmまで昇る水の噴出と考えられる現象が確認されていました。

▼エウロパの間欠泉
エウロパをの間欠泉

NASAは2022年頃にエウロパに対して探査機『エウロパ・クリッパー』を打ち上げる予定です。また同様の間欠泉は土星の衛星エンケラドゥスで直接観測されています。