野生の動物チンパンジーとは違い毎日お風呂に入り清潔的な生活を送る人間。同じ霊長類でも天と地ほどの差があるのですが、なんと私達人間が使うベッドはチンパンジーのそれよりも明らかに汚いことがわかったと報じられています。
「臭い手で触るな、汚らわしい猿め!」1968年の名作映画『猿の惑星』でチャールトン・ヘストンが放った台詞は、最も近縁の哺乳類に対して人々がつい抱きがちなイメージを端的に表している。「臭い」「汚い」だ。しかし、その評判は疑った方がいいかもしれない。そう思わせる研究結果が、5月16日付けのオンライン学術誌「ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンス」に掲載された。これはノースカロライナ州立大学の学生らが行った研究でアフリカ、タンザニアで放棄された使用済みのベッドと私達が普段使用するベッドの双方をそれぞれどのような細菌が生息しているのか調べたという興味深い内容です。
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その結果、ノースカロライナ州で以前行われた人間のベッドの調査結果として皮膚、唾液、ふんに由来する細菌は全体の35%だったもの、チンパンジーのベッドからはわずか3.5%しか検出されませんでした。つまり、圧倒的に私達が使っているベッドのほうが汚染されているという結果がでました。また研究者よるとチンパンジーのベッドからは外部寄生虫(つまりノミやダニなど)が多く見つかるはずだと予想していたものの、今回の研究では同じ種の4匹しか見つからなかったと話しています。(参考)
なぜチンパンジーのベッドは人間のモノよりも綺麗だったのか。その理由はチンパンジーは毎日お手製のベッドをこしらえていることが理由の一つだとしています。
この結果をどう見るべきなのか。カリフォルニア大学デービス校で進化微生物学者として様々な研究を行っているジョナサン・アイゼン氏は、この研究は微生物の量ではなく検出された細菌の種類だけを比較している点に注意が必要だとしています。
その上でこの学者は「汚いの定義は様々あるものの、私は細菌の種類の多さではなく細菌の量がより多いほうが汚いと見るべきだ」と主張をしています。一方で世界でも行われていなかった研究であり細菌の種類を比較することについては「信じられないほど画期的な研究だ」と評価しています。
アイゼン氏によると個人が使用しているベッドに限っては自分自身に由来する微生物もいるため衛生上問題は無いと説明しています。