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電気を入力するだけで推力を発生させることができる推進装置としてEMドライブというものがあります。この謎が多いEMドライブについて、実は観測された推力は地磁気と電気ケーブルが影響を与えた可能性があると報告されています。

これは電気さえ確保できれば機械が壊れるまで半永久的に推力を発生させることができるEMドライブ。これは消費する燃料がないためロケット内に原子力でも搭載することができれば太陽光など環境に左右されず推力を発生させることができます。

そんなEMドライブについてはこれまでNASAも公式に推力を発生させていたと認めるなど世界でもいくつか同様の研究結果が示されているのですが、一方で今回研究をドイツのドレスデン工科大学マーティン・タジマール氏率いるチームは「真空槽の中の電気ケーブルに地球の磁場が影響を与えたため、推進力が測定された」という内容の研究結果を明らかにしています。

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記事によると、ドレスデン工科大学が行った研究では真空槽の中にEMドライブの装置を設置し合わせて振動や熱、共鳴、その他何らかの影響を与えそうな地磁気以外の要因をすべて断った状態で観測を行いました。

その結果、NASAの研究ではマイクロ波が反射することでEMドライブから推力が発生すると主張していたものの、EMドライブからマイクロ波の反射が行われないような状態でテストした場合も同様の推力が発生していたことが分かったといいます。
なぜ推力が発生してしまったのか。その理由の一つとして真空槽のケーブルと地磁気に相互に作用してしまい結果的にEMドライブから推力が発生したと測定されてしまったことが理由だとしています。

今回の研究では賛否両論あるとのことなのですが、今回の実験装置では仮に推力を発生させていたとしても誤差の範囲に収まってしまう程度の低出力なEMドライブが用いられているなど実験内容にも問題があるという指摘があります。

ちなみに今回測定された推力は観測装置そのものを誤作動させていたというものではなく、実際に4マイクロニュートンの推力を発生させていたことが確認されています。つまり地磁気が悪影響を与えたとしてもEMドライブからは何らかの推力が発生させていることには間違いありません。