前回、NASAの探査機を組み立てたクリーンルームと、合わせてそこで繁殖する微生物がいるということも紹介しました。細菌が繁殖する栄養すらないと思われるクリーンルーム内でどのようにして生き続けているのか、その原因の一つが明らかになったと報じられています。
異物の混入や細菌による汚染が許されない作業が行われるクリーンルームでは、空気が清浄に保たれ、空間内に持ち込まれる物品に対しても高い清浄度が要求されます。人間も専用のクリーンウェアを身につけなければ入ることができないクリーンルーム内で、「なぜか微生物が発見される」という不思議な現象が以前から確認されており、そのメカニズムを研究者が明らかにしました。太陽系内の特に惑星やその衛星に着陸し探査が行われる機体の製造に関してはありとあらゆる方法で殺菌されたクリーンルーム内で行われています。これは地球上の微生物を付着した状態で他の惑星に探査機を送り込んだ結果、その惑星を地球由来の微生物で汚染してしまう可能性があるためです。
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▼火星に送り込まれたキュリオシティとクリーンルーム
しかし、そんなクリーンルームでも完全に微生物の侵入を防ぐことはできません。そんな中、カリフォルニア州立工科大学が行った研究によるとクリーンルーム内で繁殖している微生物としてアシネトバクター株という真正細菌が知られているそうです。なぜこの微生物が生き延びつづけ繁殖することができるのか、なんと一般的には消毒液と使用されクリーンルームでは宇宙船の部品の洗浄にしていたエタノールの栄養に繁殖していたことがわかったとしています。
▼アシネトバクター
アシネトバクターという種類の自然界に広く分布しており、私達人間の皮膚にもいることがある身近な微生物の一つです。したがって、クリーンルーム内にいるという最大の原因はそこで作業をしている人間と考えられるのですが、今後このような研究を元に更に徹底した殺菌が行われていくものと考えられます。