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2004年にNASAが送り込んだ火星探査車オポチュニティに関して、火星確認されている観測史上最大の砂嵐により危機的状況に追い込まれていると報じられています。

国内外の複数メディアによると今年5月末にから発生した砂嵐について、現在火星の地表4分の1を多い尽くという過去最大規模になっている件について、砂嵐が発生している地点で観測を続けていたマーズ・エクスプロレーション・ローバーBことオポチュニティについて現時点で通信が再開できていないと報じられています。

NASA's Curiosity Rover Is Tracking a Huge Dust Storm on Mars (Photo)

オポチュニティは太陽光で発電し活動している探査車で砂嵐で太陽光が遮られてしまっては活動することができません。そのため、全ての科学調査を中止し発電とバッテリーの温存、そして地球との通信を確保できるよう最低限の機能だけで砂嵐をやり過ごしています。しかし、2018年6月10日を最後にオポチュニティとの通信が断絶した状態が続いているとしており、NASAの担当者が今後も通信ができない状態が続く可能性があるとして緊急事態を宣言したとしています。

▼2018年6月6日、マーズ・リコネッサンス・オービターにより撮影された火星の嵐
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問題はこの嵐がいつまで続くのかです。2007年に発生した大規模な砂嵐では2週間続いていたといいます。また最後に通信ができた6月10日の時点では通信可能な量のバッテリーを蓄えいているというデータが送信されており内部のヒーターを動作させ続ける電力は確保されていたと話しています。ただ、通信が再開できず、最悪の場合このまま運用停止という事態を迎える可能性があります。また現時点でオポチュニティのいる地点では夜のように暗く太陽光がほとんど届いていない状態だとしています。

▼火星探査車オポチュニティ
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いずれにしてもオポチュニティの生死を分けるのはバッテリーの残量とヒーターです。ヒーターを使い内部のを温め続けることができなければ2010年のスピリットのように同様に機能を停止する可能性が高いとされています。一方、オポチュニティがいる地点ではこれから夏を迎えること、そして厚い砂嵐も発生していることから地表の温度はそこまで下がっていないと考えられています。そのため仮にバッテリーを使い果たしヒーターを稼働できない状況下にあっても復活できる可能性があると指摘もされています。

一方で火星で探査を続けている大型のキュリオシティについては原子力電池を搭載しており、昼夜問わず活動することができるため砂嵐の影響はほとんど受けないと考えられます。


オポチュニティは2003年7月、火星に向けて打ち上げられ翌年の2004年1月25日午前5時5分、火星の赤道付近、メリディアニ平原に降り立ちました。当初オポチュニティは地球時間で90日間ほどの設計で探査計画が組まれたものの驚異的な耐久性を見せ着陸から15年目となった現在も動き続けていました。総移動距離は45kmに達しており地球以外の天体における走行距離としては最長になっていました。

▼嵐により吹き飛ばされたソーラーパネル上のチリ
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