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アメリカ航空宇宙局(NASA)および欧米の大学などの機関が行った研究として1992年から2017年まで人工衛星による観測データーを元に南極の氷の量を調査したところ、過去25年間で3兆トンもの氷が消えていたことが分かったとしています。

この研究はNASA及び欧米の大学を中心とした84人の国際研究チームが行いイギリスの科学誌ネイチャーで発表された論文です。それによると、これまで増加し続けていたと言われていた南極の氷に関して一転して減少傾向にあるという内容になっています。

南極の氷消失、1992年以降3兆トン 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

国内外メディアによると、論文の主執筆者の一人で、NASAのジェット推進研究所の科学者は「今回の研究結果により、南極大陸の氷塊が減少傾向にあることへの根強い疑念が完全に払拭されるはずだ」などと主張しています。

ではその規模はどのくらいなのか。今回のデータは24の宇宙ベースの調査から収集した衛星データ20年以上分を用いることで、より詳細な全体像を把握することについに成功したとしています。そのうえで、南極の氷の消失速度は1992年~2012年までの20年間は年平均約760億トンだったものの、2012年以降は平均して年間2190億トンにまで急上昇したとしており、25年間で合計3兆トンの氷が消えて無くなったとしています。
またその傾向は南米大陸に近い南極西側の消失が多く、東側は少ないとしています。

矛盾するNASAの研究

南極の氷の量に関しては実はNASAが行った研究結果が過去に発表されているのですが相反する結果になっています。それは2015年11月に国内でも報じられていたもので、同じく1992年~2008年の南極全体の量を調査したものです。
それによると、1992年~2001年は平均して年間1120億トン氷の量が増加しており、2003~2008年にかけては年平均820億トン増加していることが分かったとしていました。氷の増加量は南極の西側では減少していたものの東側では増加しており、南極全体では年間数百億トンという規模で増加していたとしその原因は1万年前から降雪量が増加しているためで、厚い氷となって増え続けているという趣旨の説明をしていました。
また地球における海水面の上昇に関しても南極の氷ではなく別に要因があるとまで主張していました。

気象庁 | 海洋の健康診断表 海氷域面積の長期変化傾向(全球)(2012年)
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日本の気象庁はNSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを元に『南極域における海氷域面積は、1979年以降、長期的に増加傾向を示しています。海氷域面積の年平均値の1979年から2012年までの増加率は、2.5 [1.6~3.3] 万平方キロメートル/年となっています』と説明しています。