ヘルペスウイルス

人物や時間、ちょっと前に何をしたのかも忘れてしまうなどの記憶障害をもらたらすアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)。特に高齢者が患う病として様々な研究が行われているのですが、その原因の一つとしてヘルペスウイルスの感染が発症に関与している可能性があるという研究が報告されています。

ニューヨークにあるマウントサイナイ・アイカーン医科大学などの研究者グループにより、アルツハイマー病の患者の脳では2種類のヘルペスウイルスが多く見つかることが確認されました。グループは、ヘルペスウイルスが脳細胞と相互に影響し、病気を進行させていることも見つけたそうです。

GIGAZINE
日本国内で認知症を患っている方の実に6割がアルツハイマー病と言われているのですが、何により発症するのかは様々な説があり現在のところ確かな理由は分かっていません。そのうえで、今回の研究ではヒトヘルペスウイルス6A(HHV-6A)および、ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)という2つのウイルスがアルツハイマー病を患った患者の脳の遺伝データから、一般人よりも約2倍以上多く見つかったと報告しています。

このヘルペスウイルスとはどういうものなのでしょうか。これはよく耳にする皮膚発疹を引き起こすもので、詳細は不明なのですが、主に子供に多く疾患が現れるという6型ヘルペスというものでローズラという細かい発疹が出るというものだといいます。
このヘルペスウイルスが体内をめぐり脳に入り込むことがあるらしく、その後何十年も非活動状態になっている場合があるといいます。

現在のところ脳に入り込んだヘルペスウイルスによりどのような理由でアルツハイマー病を発症させるのかは分かっていないのですが、ヘルペスウイスルの遺伝子がアルツハイマー病患者のリスクを高めることが知られている遺伝子と相互作用していることが分かったとしています。
ただ、なぜ何十年も非活動状態だったヘルペスウイルスが再活性化するのかについては分かっていないとしており、幼いことろにヘルペスウイルスに感染したからといってアルツハイマー病を発症するのかもわからないとしています。

今回の研究から仮にヘルペスウイルスが原因としているのであればヘルペスを治療するような薬を用いてアルツハイマー病を予防したり治療することが可能になる可能性があるとしています。


認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症はアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なタンパク質が脳内に異常に蓄積することで神経細胞が破壊され脳が萎縮することで記憶障害など様々な障害をもたらします。
しかし、何が原因でアルツハイマー病を引き起こすのかは分かっておらず、過去には大気汚染が原因ではないかとするものや、脳がウイルスや細菌に晒された結果作られるという研究鼻炎や睡眠薬が原因とするもの、他には喫煙、酒、運動不足、食生活が原因など多岐に渡っています。