長征9号_1

中国で研究が進められている『長征9号』という新しいロケットシリーズについて、先日中国で国産ロケットの製造・開発を行っている中国運載火箭技術研究院が公演を行いその具体的な仕様に関して発表があったと報じられています。

海外の宇宙関連サイトによると5月31日、北京の清華大学でCALT(中国運載火箭技術研究院)の長官、Long Lehao氏が公演を行い、中国が開発するロケットとしては最大、また世界で開発されているロケットの中でも最大規模の打ち上げ能力があるとする長征9号の最新情報を発表しました。

China Reveals Details for Super-Heavy-Lift Long March 9 and Reusable Long March 8 Rockets

同氏によると、新しく開発される長征9号はNASAで開発されているスペースシャトルに代わる次世代ロケット『SLS(スペース・ローンチ・システム)』に匹敵する超大型重量貨物打ち上げ機「スーパーヘビーリフター」になる予定だとしています。
性能としては国際宇宙ステーションが周回している地球低軌道に140トン月軌道に50トン火星軌道に44トンを打ち上げることができるとしています。この性能については最大仕様のSLSが地球低軌道に130トン、月軌道に45トンとしているため長征9号はSLSを超える打ち上げ能力があるということになります。

▼長征9号と考えられるロケットのデザイン
長征9号_2

その他の仕様として長征9号は全長93m、中央のコアロケットは直径が10mあるとしており2030年後頃の打ち上げを目指すとしています。

長征9号の主なミッションは月の有人探査と火星への探査機の打ち上げを主としているらしく、例えば月の探査であれば宇宙飛行士が乗り込んだ有人宇宙船と着陸機を一度に打ち上げ地球に帰還させることができ、火星については一回の打ち上げで土壌を持ち帰るなどのサンプルリターンができます。また現在の宇宙船とは異なる新たな有人宇宙船も開発しているとしています。


現在中国を含め、アメリカやロシアでも大型ロケットや月への有人探査に向け開発が進められており、21世紀前半にもこれらロケットが登場してくるものと考えられます。