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未だ被害の全容が明らかになっていないラオスで発生したダムの決壊事故について、ダムは土を積み上げた工法としては最古という『アースダム』の可能性があるとと報じられているそうです。

ラオス南部で建設中のダムが決壊した大事故で、ラオス政府の怒りが高まってきた。事故を「人災」と断定し、韓国側に対し、罰則的ともいえる「特別補償」を求めているのだ。欧米メディアは「欠陥・手抜き工事」の可能性を報じ、工法自体への疑問も浮上している。今回の事故は、韓国企業による海外インフラ受注競争にも、影響が出かねない。

Yahoo!ニュース
韓国企業のSK建設が中心となり建設を進めていたセーピアン・セーナムノイダムが決壊した件に関して、夕刊フジによると韓国メディア『聯合ニュース』が報じた内容としてダムの工法(構造)は「土を積み上げたアースダム」と報じていると紹介しています。

このアースダムとは一体なのか。ダムについて調べてみるとその種類は複数あるのですが、大きくコンクリートを主体した『コンクリートダム』、土や岩石を主体とした『フィルダム』、両方を使う『コンバインダム』、そして日本で作られた『台形CSGダム』があるそうです。

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その中でもアースダム(アースフィルダム)は『フィルダム』に分類され、さらに内部の構造によって均一型、ゾーン型(傾斜コア)、などいくつかの種類があります。

▼決壊したダム。コアは確認できず均一型と考えられる
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記事ではアースダムは「ダムの形式としては最も古い」「地震で壊れる可能性がある」「洪水時に越水して決壊する可能性がある」という内容が書かれておりアースダムが古い工法で危険だという表現となっているのですが、実際のところはそうではありません。
日本国内に存在するダムについてはため池用など小さいものを含めると最も多く建設されており(ただし高さ低いものがほとんど)、世界を見るとアメリカには高さ230mを超えるものやタジキスタンでは300mを超えるアースダムが建設されています。

▼アメリカで最も高いオーロビルダム(アースダム)
オーロビルダム

それにも関わらずなぜ決壊してしまったのか。原因は明らかになっていないのですが、構造そのものに欠陥があった可能性、手抜き工事が行われた可能性、稼働を早めようと無理なスケジュールで建設が進められたことで予想外の強度不足が発生した可能性など様々考えられます。

またアースダムでは特に大規模なダムでは強度の問題から中心部に土質遮水壁(コア)を設けることがあるものの、決壊したダムに関してはそのような構造は一切見当たりませんでした。

建設していた韓国のSK建設は原因は施工不良などではなく、あくまでも「洪水が原因だ」としているものの、そもそも洪水でも決壊させてはいけないのがダムです。
自然災害に弱いアースダムを建設した理由、土を積み上げるだけという単純な均一型を選択した理由などがダム決壊事故の焦点になっていくものと考えられます。