HTV-X

国際宇宙ステーションへ物資を輸送するJAXAのHTVこと「こうのとり」に関して、その新型である『HTV-X』(仮)に関して、アメリカの民間企業スペースXが運用するファルコンヘビーでの打ち上げを行っていくと海外メディアが報じています。

NextBigFuture.comによると、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)に関して宇宙航空研究開発機構 (JAXA)はスペースXの超大型重量貨物打ち上げ機ファルコンヘビーロケットを主要な打ち上げ機として検討していると報じています。

SpaceX in talks with Japan and Europe for future Falcon Heavy launches – NextBigFuture.com

HTV-Xは国際宇宙ステーションに物資を補給する無人の補給船として現在運用されているHTV「こうのとり」の発展型で、大型のソーラーパネルを搭載するなどして国際宇宙ステーションとのドッキングを最大6ヶ月間まで拡張(HTVは最大45日間)させます。

HTV-X
別紙-2: 新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)軌道上プラットフォームの概要についてより(PDF)

さらに物資輸送後はそのまま国際宇宙ステーションからでたゴミを乗せ地球に落とすというだけではなく、その間に最大1年半の技術実証ミッションが行えるようになっており、例えば更に軌道を上げて小型衛星を放出したり、大型のレーダーを展開するなど、地上を観測するような人工衛星のような使い方も行えるようになっているとしています。

ただ、JAXAによるとHTVとHTV-Xの打ち上げ重量についてはHTVが16.5トンHTV-Xが15.5トンと1トンあまり軽くなっています。それにも関わらずなぜ世界最大の打ち上げ能力のあるファルコンヘビーというロケットを使用することを検討しているのでしょうか。

記事によると、どうやら国際宇宙ステーション引退後アメリカが中心となり月の軌道に建設される月軌道プラットフォームゲートウェイ (Lunar Orbital Platform-Gateway, LOP-G)への物資輸送についてHTV-Xを考えており、15.5トンもの質量を月軌道に送り込むにはファルコンヘビーの打ち上げ能力が必要ということのようです。
月軌道プラットフォームゲートウェイについては現時点で建設に向けた計画が進んでおり、日本もこれに参加するとしている一方で、残念ながら国内で運用するロケットやH3と呼ばれる次期基幹ロケットでは力不足です。

▼今年打ち上げらたファルコンヘビー(参考)
ファルコンヘビー

そのためHTV-Xを月軌道に送り込むには莫大な予算をかけ新たな大型ロケットを開発する必要があります。一方で高頻度で打ち上げるというものでもなく高コストのロケットを運用しなければならずコストパフォーマンが著しく悪いため、月軌道への打ち上げはスペースXのファルコンヘビーに任せるという意見が出ているもの思われます。

そもそも月軌道プラットフォームゲートウェイへの物資輸送等にHTV-Xが必要なのかという疑問があるのですが、アメリカの計画に参加するとJAXAが言っている以上は、打ち上げ能力不足からアメリカのロケットが必要なってくるものと考えられます。