Amazon創業者で、行方不明だった戦艦武蔵などを発見することに貢献したジェフ・ベゾス氏。同じく彼が設立した民間宇宙企業ブルー・オリジンはBF-4という強力なエンジンに関して新型ロケットへの搭載が決定し同社としては初のロケットエンジン販売が事実上開始したことになります。
宇宙に興味のある人であれば一度は耳にしたことがあるのではないのでしょうか。このブルー・オリジン現在力を入れいてるのは高度100kmへの民間宇宙旅行と、新型再使用ロケット『ニュー・グレン』の開発及び搭載されるロケットエンジンBF-4の開発・製造です。
ULA selects Blue Origin to provide Vulcan main engine - SpaceNews.com
ブルー・オリジンはこのBF-4というエンジンに関してアトラスとデルタロケット後継機として開発を目指すヴァルカンロケットへの搭載を目指していたのですが、先日このロケットを開発するユナイテッド・ローンチ・アライアンス (ULA) と正式契約を結んだと報じられており、ロケットエンジンの販売成功という実績を勝ち取りました。これはスペースXでも行われていなかったベンチャー企業としては初の出来事と考えられます。
今回のロケットエンジンの採用に関しては実は老舗メーカーのエアロジェット・ロケットダインと争っており結果としてこちらに勝利するという形になりました。ではそのBE-4エンジンとはどのようなものなのでしょうか。
BE-4エンジンはこれまで開発されたいわゆる液体燃料を燃焼させるエンジンと同じなのですが、燃焼する推進剤が異なっています。具体的には推進剤は液体水素やケロシンではなく火力発電所などで利用されている液化天然ガス(LNG)を採用しました。
▼BF-4エンジン(実物)
液体酸素・LNGを燃焼させるロケットエンジンにはどのような利点があるのでしょうか。同社によると、従来の液体燃料エンジンに比べて安定した燃焼を行う事ができるとしておりエンジンに使用する部品数を少なくすることができ製造コストも抑えることができるとしています。
他にも様々な利点があり、過去にスペースXが運用するファルコン9ロケットの爆発事故につながった加圧用の液体ヘリウムタンクが不要になりロケットの信頼性向上にもつながっています。これはLNGでは自ら加圧することができるという自生加圧というものを利用したものだといいます。特にこの点は重要で、例えばスペースシャトルであれば液体ヘリウムの加圧の際に不慮の爆発が発生する可能性がゼロではないため、必ず加圧が完了してから宇宙飛行士の乗り込みが行われていたとされています。つまりLNGでは理論上このような手間を無くすことができます。
またロケットエンジンの再使用にも優れており、ブルー・オリジンが開発を進めているニュー・グレン ロケットでは25回のエンジン再使用を予定しています。
BE-4エンジンの開発状況については、実は2011年からこっそりと開発が進められていたもので2017年3月には量産型の1号機とされるロケットが完成していました。既に複数回の燃焼試験を実施しておりヴァルカンロケットへの採用も決まったこともあり完成にほぼ近づいているものと考えられます。
また同社によるとBF-4エンジンはアメリカ以外にも販売と輸出を考えていると過去に発表されています。
もちろん大気圏内での再始動も可能でニューグレンロケットのようにロケット本体を帰還させ回収を行う事が可能となっています(ヴァルカンロケットの回収方法)。エンジンの性能はサイズなどで単純な比較はできないのですが海面高度での推力は550,000lbf(約2400kN=約244トン)です。これは日本のH-IIAロケットのメインエンジンLE-7Aの86トンの実に2.8倍に匹敵します。
ベンチャー企業がこれほどの規模と性能を誇るエンジンを開発できることが信じられないのですが、アメリカの技術開発の底力は私達一般人の想像を超えているものがあるのかもしれません。このエンジンを乗せたロケットは近い将来アメリカから宇宙に向けて打ち上げられることになります。
ULA selects Blue Origin to provide Vulcan main engine - SpaceNews.com
ブルー・オリジンはこのBF-4というエンジンに関してアトラスとデルタロケット後継機として開発を目指すヴァルカンロケットへの搭載を目指していたのですが、先日このロケットを開発するユナイテッド・ローンチ・アライアンス (ULA) と正式契約を結んだと報じられており、ロケットエンジンの販売成功という実績を勝ち取りました。これはスペースXでも行われていなかったベンチャー企業としては初の出来事と考えられます。
今回のロケットエンジンの採用に関しては実は老舗メーカーのエアロジェット・ロケットダインと争っており結果としてこちらに勝利するという形になりました。ではそのBE-4エンジンとはどのようなものなのでしょうか。
BE-4エンジンはこれまで開発されたいわゆる液体燃料を燃焼させるエンジンと同じなのですが、燃焼する推進剤が異なっています。具体的には推進剤は液体水素やケロシンではなく火力発電所などで利用されている液化天然ガス(LNG)を採用しました。
▼BF-4エンジン(実物)
液体酸素・LNGを燃焼させるロケットエンジンにはどのような利点があるのでしょうか。同社によると、従来の液体燃料エンジンに比べて安定した燃焼を行う事ができるとしておりエンジンに使用する部品数を少なくすることができ製造コストも抑えることができるとしています。
他にも様々な利点があり、過去にスペースXが運用するファルコン9ロケットの爆発事故につながった加圧用の液体ヘリウムタンクが不要になりロケットの信頼性向上にもつながっています。これはLNGでは自ら加圧することができるという自生加圧というものを利用したものだといいます。特にこの点は重要で、例えばスペースシャトルであれば液体ヘリウムの加圧の際に不慮の爆発が発生する可能性がゼロではないため、必ず加圧が完了してから宇宙飛行士の乗り込みが行われていたとされています。つまりLNGでは理論上このような手間を無くすことができます。
またロケットエンジンの再使用にも優れており、ブルー・オリジンが開発を進めているニュー・グレン ロケットでは25回のエンジン再使用を予定しています。
BE-4エンジンの開発状況については、実は2011年からこっそりと開発が進められていたもので2017年3月には量産型の1号機とされるロケットが完成していました。既に複数回の燃焼試験を実施しておりヴァルカンロケットへの採用も決まったこともあり完成にほぼ近づいているものと考えられます。
また同社によるとBF-4エンジンはアメリカ以外にも販売と輸出を考えていると過去に発表されています。
もちろん大気圏内での再始動も可能でニューグレンロケットのようにロケット本体を帰還させ回収を行う事が可能となっています(ヴァルカンロケットの回収方法)。エンジンの性能はサイズなどで単純な比較はできないのですが海面高度での推力は550,000lbf(約2400kN=約244トン)です。これは日本のH-IIAロケットのメインエンジンLE-7Aの86トンの実に2.8倍に匹敵します。
ベンチャー企業がこれほどの規模と性能を誇るエンジンを開発できることが信じられないのですが、アメリカの技術開発の底力は私達一般人の想像を超えているものがあるのかもしれません。このエンジンを乗せたロケットは近い将来アメリカから宇宙に向けて打ち上げられることになります。