先日、日本が配備を目指すF-3というステルス戦闘機に関してアメリカのロッキード・マーティンが提案したF-22とF-35のハイブリッド案は見送られたと報じられていましたが、先日同社から方針変更があったといいF-22をベースとした日米の共同開発案を提示してきたと報じられています。
防衛省が新規開発して2030年代に導入する次期戦闘機について、米ロッキード・マーチン社との共同開発が有力案として浮上した。同社製のF22ステルス戦闘機を基に、エンジンなどに日本独自の技術を採用することを想定している。年末に策定する新たな中期防衛力整備計画(中期防)に新規開発の方針を盛り込んだうえで、日米共同開発に踏み切る見通しだ。F-3戦闘機とは現在航空自衛隊が配備しているF-2戦闘機の後継機として2030年代から運用を目指すとする機体です。この機体に関してどのように開発し配備していくのかF-3の開発・製造に関して『国内開発案』、『国際共同開発案』そして『既存機の能力向上型の購入案』の3つが現時点で存在しています。
毎日新聞
先日、「ステルス戦闘機『F-3』、F-22の改修案などは全て見送り」として『F-22を含め既存機の能力向上型の購入案』は全て見送りになったとお伝えしたのですが、前回の報道と今回の報道は一体何が異なるのでしょうか。
前回の案はF-22をベースにF-35の機器を搭載したものとし『既存機を改修したもの』を提示してきました。一方今回はF-22をベースとすることは同じなのですが、内部はエンジンを含め日本が開発したものを搭載する案になりました。これは3つある案の中の『国際共同開発案』にあたるものです。
記事によると「改修を提案していたロッキード社が共同開発に提案を変えたことを受け、防衛省は実現可能性の調査を始めた」と報じてます。
F-3に関しては対空、対艦、対地を全てこなすマルチロールファイターと位置づけられている他にも無人機を展開し情報を共有させる能力を必要としており、F-22をはじめ他国の第5世代戦闘機では搭載されていなかった機能を要求しています。そのためF-22の機体デザインをそのまま流用したのではなく機体形状の変更などが行われる可能性もあります。
一方で懸念されるのは2030年代以降に登場してくると考えられる人工知能を搭載し有人無人のどちらでも飛べるという欧米の第6世代戦闘機に対し、1990年代に初飛行した設計が新しいとは言えない第5世代戦闘機のF-22をベースとして問題は無いのかという点です。
この点についてアメリカ側は現在F-22の優位性は保たれているものの2030年以降は敵機や対空ミサイルの脅威に晒される可能性があるとしており、F-22の改修や生産を再開するという案はF-22の後継機にも競合する可能性もあるとし最善の策ではないという考え方が示されています。(参考)
その他にもどの程度日本製の機器が搭載可能なのか膨れ上がることは確実な1機あたりのコスト、F-22をベースにしている時点で輸出規制の問題があります。
何れにしても今回の報道で明らかになったのは前回の報道が正しかったことと、『既存機の能力向上型の購入案』というのは現時点で無くなったということです。