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国内の一部メディアによると、Google傘下の株式会社SCHAFTに関して年内にも事業を終了し解散すると報じられています。SCHAFTは二足歩行ロボットコンテストでボストン・ダイナミクスやNASA製を超えるロボットを開発していました。

Google(Alphabet)が、傘下のロボット開発ベンチャーSchaftの事業を終了することが明らかになりました。同じロボットベンチャーのBoston Dynamicsとともにソフトバンクとの間で買収が合意済みであると伝えられていたものの、買収条件が折り合わず、代わりの買い手も現れなかった模様です。

Engadget 日本版
SCHAFTは2012年5月東京大学の情報システム工学研究室の研究者により設立されたベンチャー企業でヒューマノイド・ロボットつまり二足歩行ロボットに関して非常に優れた研究・開発をしており2013年11月にグーグル(Alphabet)がボストン・ダイナミクスと買収されていました。しかし、買収の立役者となったAndroid OSの生みの親であるアンディ・ルービン氏が2014年末に退社。利益を生み出すことがないロボット部門は売却の対象となりました。

その後にボストン・ダイナミクスとSCHAFTについてはニュース等で報じられたように日本のソフトバンクが買収することが決定したものの、記事によると「SCHAFT社員の数人以上が、ソフトバンクの下で働くことを拒否した」とし、ソフトバンク側との交渉は決裂。Google(Alphabet)によると多くの選択肢を検討したものの買い取る企業が現れなかったとしています。SCHAFT社員については配置転換する方向で調整すると日本経済新聞が報じています。また、Googleについては二足歩行ロボット開発は中止すると発表しており、SCHAFTの優れたロボットは事実上失われるということになります。


SCHAFTのロボット技術が優れていると評価されたのは2013年に米国の国防高等研究計画局が開催した「DARPA Robotics Challenge Trials(DRC)」というヒューマノイドロボットを使用したロボコンです。

DRC
今年中に見ておきたいDARPAロボコン映像 : ZAPZAP!


コンテストに参加したのはマサチューセッツ工科大学、カーネギーメロン大学、NASAなどアメリカを中心とする16のチームで、その多くがボストン・ダイナミクスが開発したアトラスを使用していました。
しかし階段すらまともに登れないロボットが続出し、最終的に16チーム中9チームが10点以下(32点満点)、NASAを含む3チームが0点という厳しい結果で終わりました。一方、SCHAFTが開発したロボットは27点でトップの成績でした。

▼コンテストで階段を登るSCHAFTのロボット

SCHAFTについてはGoogleに買収された当時『支援枠が少なく後手に回った行政の対応や、大学内の自主ルールで掣肘され産学官軍で協力した研究開発が実施できない現状を批判された』としていたものの、なぜ今回も引き取り手が見つからなかったのかや、ソフトバンク側と何が原因で折り合いがつかなかったのかは不明です。

いずれにしても人手不足から外国人労働者を入れようとしている日本の状況からすると、日本の人材により作られた人の代わりになるロボットとその技術が全く活かされないというのは理解しがたいことです。

▼状況に応じて関節の向きが変化するという発想のロボット