ロシアの原子力推進ロケット_1

日本のJAXAにあたるロシア国営の宇宙企業ロスコスモスは先日、原子力推進を採用した超大型宇宙船を発表しました。もちろんこの宇宙船はコンセプトであり何年後に建設するという目標などは一切発表されていません。

ロシア政府が発行する新聞『ビヨンド』が報じたもので、ロシアの宇宙開発に携わる国営企業ロスコスモスが太陽光エネルギーなどを使用しない新しい宇宙船モデルを発表しました。

ロスコスモスが新型宇宙船を発表:まるでフィクションの世界 - ロシア・ビヨンド

詳細は不明なのですが、今月7日ロスコスモスはYoutube上で原子力推進の新型宇宙船を発表しており、「こんにち、ケルディシュ記念センターはより強力なエンジンの宇宙船の開発に取り組んでいる。それは新たなクラスの原子力機器で、稼働のためには太陽光線、太陽電池を必要としない」などと記載されているといいます。


公式の映像を探し出すことができなかったのですが、こちらでロスコスモスが発表したという映像が確認できます。

ロシアについては原子力推進の宇宙船を過去にも発表しており、2015年には国内の一部メディアが「原子力推進エンジンの開発は凍結された」などと報じていたことについてロスコスモスが否定する発表を行っていたことがあります。
原子力推進エンジン開発計画、「凍結報道」を否定ーロシア : ZAPZAP!

ロシアが開発している原子力推進エンジンは『機械建設工場』が開発を進めているもので2014年8月に宇宙原子力電気推進機(JAEDU)がエンジンの基幹部分、熱供給装置の開発に成功したと発表していました。
ロシア、原子力推進エンジン組立へ : ZAPZAP!

ロシアが開発している原子力推進エンジンは原子炉に液体酸素送り噴射するという熱核ロケットではなく、原子力発電で電力を発生させイオンエンジンを動作させるというものになっているとされています。そのため、例えば電力の確保が難しい深宇宙でも安定した電力を確保することができるという利点もある他、通常の化学エンジンを採用した宇宙船よりもより早く目的地に到達することができるなどと主張しています。

もちろんこの原子力推進宇宙船が5年、10年後に実際に運用されるということは無いと考えられるのですが、NASAでは熱核ロケットなどの原子力技術については月や火星探査を目的とした推進装置以外にも電源の確保として利用が考えられています。