オリオン宇宙船_1

アメリカ航空宇宙局(NASA)が運用する宇宙船、オリオン宇宙船に関して最終組立の工程に入ったと報じられています。今回はこのオリオン宇宙船に関して簡単に紹介していきます。

ロシアの宇宙ニュースサイト『Космическая лента』によると、今月6日予定よりも若干遅れたもののエアバスが製造した欧州サービスモジュール(ESM)がアメリカに到着しロッキード・マーティンが最終組立を開始したと報じています。

Началась финальная сборка первого корабля Orion

アメリカの航空宇宙大手ロッキード・マーティンが開発したオリオン宇宙船はNASAが運用する宇宙船としてスペースシャトルに置き換わる有人宇宙船になります。形状は円錐型でアポロ宇宙船と形状は似ているものの内部空間などは広く仕様も大幅に異なっています。

記事では『初号機』と記載されているものの、厳密に言えば初号機ではありません。オリオン宇宙船の初号機は今から約4年前の2014年12月5日に『Exploration Flight Test-1』というものがありデルタⅣヘビーに載せられ無人状態で地球を周回し大気圏に再突入し帰還しています。

▼EM-1によるオリオン宇宙船の飛行経路
EM-1

現在組み立てられているオリオン宇宙船は2号機で『Exploration Mission-1(EM-1)』と呼ばれる無人飛行で使用される予定で、EM-1では無人状態で打ち上げ月を周回し地球に帰還します。打ち上げはこちらもNASAが開発している大型ロケットスペース・ローンチ・システム(SLS)で実施する予定なのですが、打ち上げ予定日は2020年となっており今後開発に遅れが生じれば再び延期される可能性があります。

▼オリオン宇宙船。前方がクルーモジュール、後方の欧州サービスモジュール
オリオン宇宙船
オリオン宇宙船は円錐状のクルーモジュールと欧州サービスモジュールに分けられ欧州サービスモジュールにはソーラーパネルや推進装置などが搭載されています。

元々オリオン宇宙船はアレス計画でスペースシャトルの引退と入れ替わる形で運用開始を目指していたものの打ち上げるロケットの出力が不足していたり、オリオン宇宙船が重くなりすぎるなど混乱が生じたことで置き換えが失敗しました。

▼オリオン宇宙船を打ち上げるアレスIロケットの仕様変更の歴史。計画は後に凍結された。
アレスI
その後、ブッシュ大統領からオバマ大統領に変わった際に宇宙計画の大きな見直しがあり宇宙船の目的が変わるなどし打ち上げは幾度と延期されました。現在のオリオン宇宙船による有人打ち上げは現時点で2023年を予定しているのですが、あくまでも予定であり今後も年単位で遅れる可能性があります。