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ロケットの先端、ぽっこりの膨れた部分にはフェアリングというカバーに包まれた人工衛星が搭載されているのですが、スペースXは海や陸に投棄されるフェアリングを再利用する計画を練っていると報じられています。

ファルコン9やファルコンヘビーロケットを運用するスペースX。この企業はロケットの第一段目を回収し再利用するなど再使用ロケットの草分け的存在として知られているのですが、これまで一般的には投棄されるロケットのフェアリングについても回収し再利用する計画を進めていると報じています。

SpaceX Can't Catch Falling Nose Cone — But Still Plans to Reuse It

実はスペースXはこれまでもフェアリングを回収しようと様々な策を講じてきました。具体的にはフェアリングを回収するためパラシュートやスラスターという姿勢制御の小型エンジンを搭載したほか、回収する専用の船を開発し何回か空中キャッチを試みているもののこれまで一度も成功させたことはありません。
実はフェアリングは海水に付けてしまうと腐食してしまうらしく、海水に一度落下したものを再利用するのは問題があるとしてこれまで直接キャッチする方法で回収計画を進めてきました。

▼スペースXのフェアリング回収専用の船
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しかし、今年に入り回収ネットを巨大化させたものの失敗したことで今後は直接の回収はあきらめ着水後に直ちに回収し直ちに洗浄・乾燥させることで対応しようと考えているそうです。洋上に落下したフェアリングについては同社のイーロン・マスク氏は「ほぼ無傷だった」などと状態を明らかにしています。

▼パラフォイルを展開し落下するフェアリング
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人工衛星を打ち上げるロケットには必ずフェアリングで覆われており大気がほぼ無くなる高度100~120km付近で分離され洋上または陸上に捨てられます。日本はフェアリングを回収しているものの再利用まではされていません。
わざわざゴミとして捨てているものを再利用しようとしているのか。理由はこのフェアリングだけで600万ドル(6億円以上)のコストがかかっており、再使用ロケットで大幅な打ち上げ費用の削減する一方でロケットの打ち上げ費用の少なくとも1/10以上を占めるフェアリングも再使用できればより安価なロケットとなると考えています。

▼スペースXが2015年に撮影したフェアリングのオンボード映像