SB-1 デファイアント_2

垂直離着陸することができ、その特性を生かし民間・軍事で様々な任務を行っているヘリコプター。アメリカでは現在、その次世代ヘリとして高速・長距離を移動することができる新しいヘリコプターの開発が続けられています。

元をたどれば1930年代、ドイツの女性パイロット『ハンナ・ライチュ』が世界初の実用ヘリコプターの初飛行に成功させたことを有人ヘリコプターの歴史。現在のヘリは一般的な形状として水平方向に回転する大型のローターと後部には垂直方向に回転する小さいローターで飛行する形態となっています。

しかし、近い将来ヘリコプターの形状が大きく変わる可能性があります。これはアメリカ陸軍が運用する軍用ヘリコプターを新規開発する計画『統合多用途・将来型垂直離着陸機計画』によるものです。

▼SB-1 デファイアント
SB-1 デファイアント

SB-1 デファイアント_1
その候補となっているのは今回プロトタイプが完成した報じられた『SB-1 デファイアント』です。
SB-1は機体本体は通常のヘリと似ているもののそれぞれ逆回転する『二重反転式ローター』を搭載し、機体後部には第二次世界大戦時の先進的な戦闘機のような『推進式プロペラ』の合計3つを搭載しています。

Defiant Gets Real: Sikorsky & Boeing Unveil SB>1 Super Chopper « Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

これにより飛行速度は通常のヘリでは到達不可能な460km/hに達し、単体での戦闘行動半径は424kmと従来のヘリよりも100kmも長くなっています。SB-1 デファイアントはS-97 レイダーの開発中の事故も理由なのか次に紹介するV-280よりも開発は遅れているものの将来的に軍への導入を目指し来年以降飛行試験が行われることになります。


SB-1の最大のライバルとなるのは『V-280 バロー』です。V-280はオスプレイでお馴染みのティルトローターを採用した機体で、高速かつ長距離を飛行できる最新鋭ヘリとして既に各種飛行試験が行われています。

そしてユニークなのはコックピットで、前面のパネルがまるでゲーセンにあるような巨大なタッチパネル式となっており、現代っ子向けの最新のデザインが採用されています。


V-280は巡航飛行速度は280kn(520km/h)で、既に過去の試験でこの飛行速度は達成できています。最高飛行速度は300kn(560km/h)とSB-1よりも高速で、飛行距離は最大で3,900kmに達し戦闘行動半径も930~1500kmに達するとされ、まるで航空機のような飛行性能があるとされています。

「なぜオスプレイではだめなのか」という理由についてはいくつか理由が挙げられているのですが、特に運用コストを削減する目的がありV-280では揚陸艦に搭載するような構造にはなっておらず複雑な折りたたみ構造もないため、整備費用だけでも3割カットされていると言われています。

V-280は複数の派生型も開発される見込みで既にそのモデルはベル・ヘリコプター社のショールームに展示されていると過去に報じられたこともあります。
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