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韓国の駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた問題で、最近日本側から「救助を行っていたのではなく瀬取りを行っていた」などと説が出始めているのですがこれはそもそも正しいのか。今回はなぜ韓国側が救助に出ることが出来たのかという点を調べていこうと思います。

夕刊フジなど一部メディアによると、自民党の小野寺氏が会長を務める自民党国防部会と安全保障調査会の合同会議で、日本側が受信していない遭難した北朝鮮船の救難信号を韓国側が受信し、韓国側が北朝鮮船を見つけ出し救助を行っていたのか疑問があるなど、「韓国が北朝鮮と瀬取りをおこなっていたのではないか」という『瀬取り説』が遠回し出始めていると報じられています。

レーダー照射“衝撃事実”!? 韓国救助漁船は「北工作船」か 日米情報当局分析…SOSなぜ韓国だけ察知した?(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース

韓国と北朝鮮が瀬取りを行っていたという説はネットでは事案発生当初から言われていたのですが、ここにはいくつかの疑問があることも事実です。まず韓国側が北朝鮮の遭難船とされる船を見つけ出す事ができたのかについては、一連の事案が発生した後にその答えが韓国側から既に出されています。

韓国メディアによると2018年12月22日の記事として韓国側が出動したのは「大和堆で操業していた別の船(想像では韓国の漁船)から『北朝鮮漁船と推定される船舶が遭難している』という通報があったものとみられる」という韓国軍関係者の話を紹介しています。(광개토함, 日초계기 겨냥 논란 - 조선닷컴 - 정치 > 외교·안보)
もちろんこの話が正しいのか、これまで韓国側から発表された情報の信用の低さからは考慮する必要があるのですが、少なくとも日本側が主張するような北朝鮮船から出された救難信号を受信し韓国側が救助に出たという内容はこの記事では記載されていません。また韓国の捜索活動は10時間近く実施していたととしており、レーダーが照射されたのは日本側の発表によると12月11日15時頃としているため12月11日の早朝5時時点では既に韓国側に通報が入っていたということになります。

一方で、瀬取り説が正しかったとして北朝鮮と韓国から遠く離れ、日本に比較的近い警戒海域で瀬取りを行うには相当なリスクが生じます。また瀬取りに軍や海洋警察が関わっていたなどとすれば国際的に大問題になることは容易想像できます。遭難したと装っていた偽装工作船だったとしても船は1トン未満と小型であったとされ国に持ち帰ることができる量としては少なすぎるという疑問もあります。

瀬取り説については怪しい部分が多く日本の情報収集能力の有無や韓国側から「日本が嘘をついている」など救助の動画などを公開され反論の機会を与えることにも繋がるため慎重に行ったほうが良いものと考えられます。