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アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、2004年7月に火星に着陸して以降現在運用を続けていた火星探査車オポチュニティの運用を終了すると正式に発表しました。同探査機は昨年6月に発生した火星を覆う砂嵐により通信が途絶えた状態となっていました。

NASAが現地時間13日、ホームページ上で発表した内容として、火星探査車オポチュニティに関して探査機を使用した任務の終了を宣言しました。これによりNASAのマーズ・エクスプロレーション・ローバープログラムは終了ということになります。

NASA's Opportunity Rover Mission on Mars Comes to End – NASA’s Mars Exploration Program

NASAはオポチュニティ・ローバー・ミッションは15年にわたり活動することができた惑星探査の中で最も成功した功績の1つと表現しています。

火星探査車オポチュニティは設計寿命として元々は火星日90日を想定し走行距離も1,100mを想定していました。しかし、誰もが予想していなかった地球日で実に15年あまり動き続け、総走行距離は45kmに達しました。15年間で217,000枚の写真を地球に送信していた他、ヘマタイトという水中でしか作られない鉱物を発見するなど火星の姿を解き明かしてくれてました。



オポチュニティの活動が停止した理由はただ1つ。火星の気象です。
昨年5月末から火星では地表の実に1/4ほどを覆い尽くすほどの観測史上最大規模の砂嵐が発生しました。これによりオポチュニティが使用する電力を発生させるソーラーパネルに塵がつもり発電ができなくなったことで2018年6月10日を最後に通信が途絶えました。結果として通信は再開はできませんでした。

何故昨年6月から今年の2月まで運用停止の宣言が出さなかったのか。それには理由があり、最後の通信では十分なバッテリーは確保されていたと点です。もちろん砂嵐が収まり通信が再開できる可能性があるため時間を要したことになります。

そして季節風です。毎年11月から翌年1月末にかけ火星では『ダストクリアシーズン』と呼ばれる季節風が発生し、これによりソーラーパネルの上に積もった塵が飛ばされ電力を確保できる可能性があったためです。この季節風により塵がとばされ発電量が回復したという例がこれまでもありました。

▼季節風により飛ばされた塵
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しかし、そのダストクリアシーズンも終わってしまったことから残念ながらオポチュニティは運用停止の宣言が出されたということになります。NASAは昨年10月の時点で「2019年2月初め頃にまでに通信が再開できなければオポチュニティによる観測が今後も継続されるのか否か、最終的な判断されることになる」と説明しておりスケジュールどおりの発表となったということになります。

残念ながらオポチュニティは使用不能となってしまったのですが、後継機となる大型のキュリオシティが活動を続けています。キュリオシティも同じく火星の砂嵐に巻き込まれたもののソーラーパネルではなく原子力電池を登載しているため環境や季節に左右されることがなく現在も探査を継続しています。