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先日はスーパームーンということで夜空を見上げた方も多いと思いますが、中央アメリカや南アメリカではシリウスの前を太陽系にある直径4.7kmほどの小惑星が通過することで一時的に見えなくなるという『食』が発生していたとのことです。

冬の大三角を構成するベテルギウス、プロキオンそして『シリウス』。おおいぬ座のシリウスはあまりに有名な星ですが、フランスメディア『LCI』によると現地時間今月19日、このシリウスが一時的に地球から観測できなくなるという非常に稀な現象が発生したと報じています。

Pourquoi Sirius, l'étoile la plus brillante dans le ciel, a-t-elle été éclipsée pendant quelques secondes ? - LCI

実はこの現象については発生前から予測されていたもので、太陽系の小惑星帯を公転する小惑星がシリウスと地球との間に入り込むことで星による食が予想通り観測されました。この原理は『月が太陽を隠す日食』と同じように、今回は『太陽系の小惑星がシリウスを隠した』ということになります。

▼予想された観測範囲
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記事によるとこの食が発生した時間は地球上の同じ観測点からでは1.6秒に過ぎなかったとしており、中米から南米にかけ主に洋上の狭い範囲で発生しました。

シリウスを隠した小惑星は『4388 Jürgenstock』という天体で、火星の外側にある小惑星帯を公転しており直径は僅か4.7kmほどしかないものの、シリウスに比べ遥かに地球に近いため見かけ上の大きさはシリウスよりも大きくなりこのような食が発生したとのこと。

▼4388 Jürgenstockの軌道
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4388 Jürgenstockは1964年11月に発見された小惑星で、太陽を3.58年(1,307日)で一周しています。

▼シリウスA(左)とシリウスB(右)
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一方シリウスは太陽系以外の星の中では最も明るく観測できる-1.46等星の天体となっています。一般的にシリウスと呼ばれているのはシリウスA星のことで、このA星以外にもう一つ恒星シリウスB星が存在しています。シリウスAは太陽の2倍の質量があり半径も1.7倍。一方シリウスBは恒星ですが遥かに小さく地球とほぼ同じ大きさしかありません。ただし、質量は太陽とほぼ同等となっています。