LISA

膨大な重力を持つ天体同士が合体するなどして発生する重力波を世界で始めて観測することに成功したレーザー干渉計重力波天文台 (LISA、ライゴ)。この施設に関して、Advanced LIGO Plusへのアップグレードとして国立科学財団は2040万ドル(22億円)の資金を割り当てると報じられています。

2015年12月と2017年1月それぞれ人類で始めてこれまで観測できていなかった時空の歪み、重力波を検出することに成功したのは米西部ワシントン州と南部ルイジアナ州に建設されたLIGOという重力波望遠鏡です。この発見により2017年のノーベル物理学賞受賞者として同施設のマサチューセッツ工科大名誉教授レイナー・ワイス氏ら3名が受賞しました。

Gravity Wave Observatory Could Spot One Black-hole Merger per Hour by 2024 – NextBigFuture.com

この施設については2002年8月に施設が完成したものの2010年までまったく成果はゼロでした。つまり重力波を検出できないという不名誉な状態が続いていたのですが、その後検出精度を高める大規模
な改修がされ2015年9月には本格的な観測を開始していました。結果としてその3ヶ月後には人類初の重力波を観測することに成功しました。

今回報じられたのはこの施設をさらにアップグレードするというもので、記事によると今後数年の改修期間を経て2024年頃には現在の実に7倍もの広範囲を検出可能な望遠鏡として生まれ変わることになるとしています。これにより光学や電波望遠鏡では観測しきれていないようなブラックホールや中性子星の合体という現象を1時間に1回程度観測できるのではないかとしています。

▼左下の装置から光を放ち左右に伸びた筒内をそれぞれ半分に分けられた光を進ませ右下の観測装置で光を検出します。このとき重力波が通過した場合筒内の距離が伸びることで光が打ち消し合わず光信号として歪が光信号としてされる仕組み
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何れにしても超長距離で発生するこのようなイベントは重力波であっても検出するのは極めて高精度でなければならないことが明らかです。現時点でのLIGOの精度は地球と太陽との距離に対して水素原子1つ分ほどの歪を検出できる精度があるとしており、2024年ごろには更に高精度の観測装置が誕生するということになります。