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地球軌道上に残されたのは過去の宇宙開発で残された遺産とも言える宇宙ゴミです。そのひとつ、今から47年ほど前に旧ソ連が打ち上げた金星探査機が今年地球に落下してくる可能性があると報じられています。

Space.comによると、1972年3月31日に旧ソ連が打ち上げた金星探査機ベネラ8号こと『コスモス482号(Космос-482)』が詳細な日時は分からないものの今年の早い時期に落下する可能性が高いと報じています。

Failed 1970s Venus Probe Could Crash to Earth This Year | Space

この探査機は現在もロシアの宇宙開発の拠点となっているバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。その後、『宇宙待機軌道』という金星に向かう適切な位置まで探査機が移動するまで慣性飛行が行われた後、再度エンジンの燃焼が開始されました。このときトラブルが発生しロケットと人工衛星が分解。合計4つのパーツに別れてしまい打ち上げは失敗しました。

ベネラ8号

その後、2つのパーツは48時間以内に地球に落下したと言われており、残りの2つに関しては高度210~9800kmの楕円軌道を1周112分の周期で続けたとのことです。

▼ほぼ同じ形状の突入プローブ(ベネラ4号のもの)
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そのパーツのひとつとして落下する可能性が指摘されているのはコスモス482号に搭載されていた突入プローブです。このプローブには鉛が溶けるような金星地表の超高温環境でも耐えられるよう設計されたもので、地球に再突入したとしても燃え尽きず余裕で地上に落下してくると考えられています。

地球に落下してくる可能性があるコスモス482号は全体の重量が495kgあるのですが、天文写真家ラルフ・バンデバーグ氏によると、その上段部分にあたる40~50%に当たる部分が今も周回しているとみており、これまの観測から高度2753kmから最も近いところで高度200kmを周回する楕円軌道に入っているとのこと。彼の予想では「今年の後半から来年のはじめ頃にも落下してくるのではないか」と話しているとのことです。