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アメリカの民間宇宙開発企業『スペースX』は、先日ファルコン9ロケットに無人の有人宇宙船クルードラゴンを搭載した打ち上げを行い成功したと発表しました。民間企業が有人の宇宙船を開発し地球軌道を周回させた例は無いと考えられ史上初の出来事となりました。

アメリカ フロリダ州の現地時間2日午前2時49分 ケネディ宇宙センターから打ち上げられたのはテスラ・モーターズでお馴染みのイーロン・マスクCEO率いるスペースXが開発したファルコン9ロケットとペイロードである有人宇宙船『クルードラゴン』です。

クルードラゴンは最大7乗りの有人宇宙船で、初打ち上げとなった今回の試験では宇宙船内に人体と同じ模型が載せられ様々なデータが収集されることになります。この宇宙船は今月3日には国際宇宙ステーションにドッキングする予定となっています。



アメリカの現在の宇宙開発についてざっくり説明すると、『民間でできることは民間に行わさせ、より困難なミッションはNASAが行う』という方針で進んでいます。そのため例えば国際宇宙ステーションに対しては人や補給物資の打ち上げはNASAが行うのではなく、アメリカでは既にスペースXをはじめとした民間企業にり送り届けられています。もちろん人の輸送も例外ではなく、クルードラゴンも今年中に国際宇宙ステーションへ宇宙飛行士を打ち上げる計画です。

危険ではないのか

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▲打ち上げられたクルードラゴン(実物)

アメリカでは今後少なくとも地球低軌道への宇宙飛行士の打ち上げは民間企業が多く担当することになるのですが安全性はどうなのでしょうか。これについてはNASAの厳しい審査をクリアする必要があり、一定の安全性は確保されています。
スペースXはクルードラゴンの物資補給型であるドラゴン補給線は何年も前から運用しており、船内の予圧や大気圏再突入などの運用については十分すぎる技術を獲得しています。クルードラゴンに関しても打ち上げ時にロケットが故障するなどした場合には宇宙船ごと脱出できる機構が設けられているため、それが取り外されていたスペースシャトルに比べると安全性は向上しているものと考えられています。

今回のスペースXによる宇宙船の打ち上げはアメリカがスペースシャトルが退役して以降実に8年ぶりの有人宇宙船の打ち上げ(軌道を周回するタイプとして)となり、これまでロシアだのみだった人員の打ち上げをようやく国内で行えることになります。


アメリカでは他にも航空大手のボーイングが同様の宇宙船『スターライナー』を開発しており、近々無人打ち上げを実施予定です。またNASAでは深宇宙ミッション用として『オリオン宇宙船』(ロッキード・マーティン)が開発を担当していおり、近い将来アメリカは3つの宇宙船を同時運用するという新しい宇宙時代を迎えることになります。