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2020年代の国際宇宙ステーション引退を控え、NASAは月軌道に小型の宇宙ステーション『ゲートウェイ』を建設する計画が進んでいます。結果的にアメリカの構想に各国が国際協力するという形に収まりつつあるのですが、現在想定される各国による建設分担案が示されたと報じられています。

今月11日、NASAは2020年度予算要求に合わせ月軌道上の宇宙ステーション『ゲートウェイ』に関して、現時点では「願望的なビジョン」としたうえで国際宇宙ステーション建設と同じようにゲートウェイでも協力して建設を進めたいとする計画を発表しました。

Budget proposal, ISS partners provide new momentum for lunar Gateway - SpaceNews.com

それによると、現時点での潜在的な国際建設案として想定されるゲートウェイの形状も発表されました。

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具体的には、アメリカはゲートウェイのサービスモジュールとなる電気・推進モジュール、及び居住棟を担当。欧州宇宙機関は通信などを担当するモジュールを担当します。JAXAはNASAのものとは異なる居住棟の担当になっているのですが、これは欧州宇宙機関と共同開発したものを接続する計画です。カナダは国際宇宙ステーションでもおなじみのロボットアーム『カナダーム3』を担当し、ロシアのロスコスモスは多目的モジュールを担当します。
人員の輸送についてはオリオン宇宙船を使用するとなっており、NASAと欧州宇宙機関により製造されています。補給船についてはにJAXAとNASAのものが使用される計画です。


spacenews.comによると、現在のところ建設計画に正式に傘下を表明しているのはカナダだけで24年間で14億ドル(1,557億円)をゲートウェイに投資することを発表しています。今回NASAが具体的にどのような構造にしたいのか明確になったことで、欧州宇宙機関やJAXAも当初から建設計画に参加したいという意志を示していたことから近々正式に参加を表明するものと考えられます。ロシアについてはアメリカとの対立が続いていることや独自に月面開発を目指すなどとこれまでも発表していたこともあり、参加はしない可能性が高いと考えられます。

ゲートウェイについては当初SLSというスペースシャトルの後継機を用いて建設を目指すとしていたものの一部内容が変更されており、民間ロケットにより打ち上げが行われるとしています。現在の予定では2022年に建設が開始され完成は2026年頃となっています。ただ、各国の協力の元開発されることとなると、当初の計画より施設全体が更に拡大することになり各モジュールの完成予定が未定であるため全体の完成は数年単位で延期される可能性が高いと考えられます。

ゲートウェイは元々ボーイングが発案した計画から来ているもので、最終的には有人火星探査を実施するための基地として運用を目指していました。しかし現在は平行して月面開発の中継基地としても利用されることとなっており、ここから月面への降下しアポロ計画以来途絶えていた有人探査も実施される予定です。