F-35A

国内の複数メディアによると2019年4月9日午後、訓練を行っていた航空自衛隊が運用するF-35Aの機影が確認できなくなり、本日午前、機体の一部が確認されたとして墜落したことが確認されました。今回はあえて厳しい意見として世界初となったF-35Aの墜落事故、特に日本の航空自衛隊に汚点を残すといっても過言ではない失態になった今回の事故について記載していこうと思います。

今回発生した事故をまとめると事故が発生したのは2019年4月9日午後7時25分ごろ、航空自衛隊 三沢基地所属 第3航空団 第302飛行隊のF-35Aで、この機体は三菱重工の小牧南工場(最終組立・検査(FACO)工場)で製造された国産初号機(アメリカで製造され日本に導入された機体としては5号機)だったことが明らかになりました。

▼事故機


事故は対戦闘機戦を想定した訓練飛行として事故機を含むF-35A 4機で実施していました。事故は離陸後25分後、基地から135km離れた太平洋沖で発生したとしており、救難信号などは発信されていないとしており過去の事例からみてもこの時点でほぼ間違いなく墜落したと判断できます。

現時点で墜落の原因については製造されたばかりの機体であること、海外で同様の墜落事故を発生させたことがないことなどを勘案すると機体トラブルではなく、どちらかというと操縦していたパイロット側に原因がある可能性が高いと判断されるのは自然なのですが、機体が回収されておらずパイロットもいまだ行方不明であり詳しい事故原因は分かっていません。

F-35Aの墜落は世界初

F-35シリーズについては開発段階から目立った事故はほとんど発生させたことはありませんでした。ただし、F-35Bについては2018年9月にF-35シリーズとしては初めて墜落する事故をアメリカ軍が発生させいます。そして、空軍仕様機となるF-35Aについては今回の事故が世界初の墜落事例となります。また今回パイロットが死亡したとすればF-35シリーズとしては初めて死亡事故を発生させたということになります。

▼F-35Bの墜落事故(パイロットは生存)
F-35B_2

この手の墜落事故については『オスプレイの事故』でもご存知のように今後何年、何十年も同様の事故が発生する度に「何年前にあの国が墜落させた」と表現を用いて報じられることがあり、今回の事故を受けて『その例』として日本の航空自衛隊が必ず紹介されるということになります。これは航空自衛隊として極めて遺憾なことなのですが、世界ではそのようなことを事実として永遠と報じ続けられるのは通例です。

また今回墜落事故を発生させたのは日本の工場で組み立てられた初号機という特別な機体であったことは間違いありません。この機体は2015年12月15日に生産を開始し、2017年2月にはほぼ完成した姿が披露されていました。また2017年6月には『国内生産初号機御披露目式』が行われていました。同機が基地に配備されたのは2018年1月26日で配備からわずか1年あまりで墜落したということになります。

▼国内生産初号機御披露目式の様子
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残念なことに日本を含め世界の軍事分野に関しては事故が発生するたびに自国と比較した上で批判したりネタにする傾向があることも事実です。特に日本のインターネット上では韓国軍で発生した事故について特にその傾向が強く、何年も前に発生した『F-15がマンホールに落ちた』という事故や『駐機中のF-15から緊急脱出した』という事故を持ち出しては永遠と繰り返しています。それらは主に嘲笑いう表現を用いながら「練度が低い!」など用いられる場合が多いため、今回の事故に関しては逆に他国から「国産初号機を墜落させた国」「最新のF-35Aを墜落させた国」などと表現され続けるのはほぼ確実と考えられます。

何かを運用している以上は事故はつきものですが、日本の自衛隊を見てみると今回の事故以外も相当ひどい事故を幾度も発生させています。例えば1996年には海上自衛隊の護衛艦が同盟国の米軍機を撃墜したことがある他、1995年には航空自衛隊のF-15が同じく航空自衛隊F-15をミサイルで撃墜しているなどの事故を発生させています。特に後者については「世界で初めてF-15が撃墜された例」として未だに語り継がれるほどの失態になっています。

近年では陸上自衛隊目達原駐屯地所属のアパッチ・ロングボウがローターが故障し墜落するなど世界でも稀な事故を発生させているなど大きなトラブルが目立っています。