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太平洋のど真ん中から電気すら通じていない山奥までインターネット環境を提供するインターネット衛星を打ち上げようとしているのはスペースXです。最終的に12,000基を地球軌道に送り込むという壮大な計画ですが、スペースXが計画実現に向けて最初の人工衛星を5月に打ち上げを実施すると報じられています。

携帯電話や自宅のインターネットなど、無線・有線の違いはあるものの一般的に地上付近を伝わる電波や光ファイバーにより通信が行われています。一方、アメリカのスペースXが計画しているのは宇宙に膨大な量の通信衛星を展開することで低遅延、高速、そして安価な新しいインターネット網を構築しようという計画です。これがスターリンクと呼ばれる計画になります。

SpaceX Ramping Up to Production of Starlink Satellites – NextBigFuture.com

スペースXは既にスターリンク衛星の開発・生産を行っており、当面の計画としてはFCCのライセンスに準拠するために2024年4月までに2,200基のスターリンク衛星を打ち上げる必要があります。その第一弾としてスペースXは最初のグループとなるスターリンク衛星の打ち上げを今年5月から開始することを発表しました。

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5月に打ち上げられるスターリンク衛星は第1世代に位置づけられ、製造と配備を迅速に行うため将来打ち上げられる2世代以降のものとは簡素な設計になっています。最終的に12,000基打ち上げあられる予定のスターリンク衛星は地上からの高度が異なっており、例えば1,584基配置される初期配置となるスターリンク衛星であれば高度は550kmです。

この高度では地球の大気がわずかに存在しており、衛星は常に減速し続けることになります。そのため、仮に打ち上げが失敗したとしてもそのまま放置しておけば自然に高度を下げ大気圏に再突入することで焼却処分されることになります。想定では最長でも5年以内に大気圏に再突入するとのことです。

一方で、高度を正確に維持しなければインターネットの提供はできなくなるため、人工衛星を加速させる必要がります。スターリンク衛星には電気推進が搭載されることで衛星の寿命を延ばしているとのことです。また第2世代の改良されたスターリンク衛星に関しては更に低高度の300~350kmの軌道に投入されるとしており、より安定した低遅延・大容量の高速通信が実現できるものと思われます。

スターリンク衛星が仮に普及するとこれまでにない次世代の高速通信が安定して行えるようになる可能性高く、既に張り巡らされている有線・無線インターネット網の混雑も緩和される可能性があるため、既存のインフラを利用した新しいインターネットサービスも展開される可能性があります。