
宇宙空間に無数に飛び交う小惑星。これらはランダムに地球に落下しており、そのサイズによっては地球上の生物の多くを根絶やしにするほどの破壊力があります。一方、アメリカではこの小惑星が地球に衝突することを想定するという演習を実施することになったと報じられています。
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)と米緊急事態管理局(FEMA)が小惑星、彗星(すいせい)や地球接近天体(NEO)が地球に衝突する軌道上にあるとの事態を想定し、対応策を講じる演習を来週実施することとなった。欧州宇宙機関やNASAの惑星防衛調整局、国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)などの国際組織も協力する。演習は、世界中の科学者が集まる年次の惑星防衛関連会議で実施する予定。近々行われることになった演習はアメリカ当局が中心となり実施するもので、ESA(欧州宇宙機関)やNASaの惑星防衛調整局、国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)が協力する形で実施するとしており、演習自体は世界中の科学者が集まる惑星防衛関連会議で公開して行われるとのことです。
CNN
具体的にどのような演習になるのか。記事によると、演習で衝突すると想定される小惑星はNASAのジェット推進研究所が用意した疑似小惑星で、「とある天文学者が2019年3月26日に地球に接近する地球近傍小惑星を発見。数ヶ月の追跡を行った結果6年後の2027年に地球に衝突する確率が1/100と判断された」という設定になっているとのことです。
その上で、残された6年のうちに取るべき対策を検討していくという演習になります。
地球近傍小惑星という地球に将来接近する軌道をとる小惑星については現在NASAによると8,500個が確認されており、この8,500個については軌道計算により今後100年は少なくとも地球に衝突する可能性はゼロとされています。
一方で、未確認の小惑星が地球に落下し被害を与えた例というのは実際に報告されており、その中でも有名なのはロシア連邦ウラル連邦管区のチェリャビンスク州に落下したチェリャビンスク隕石です。この隕石による人的被害は1,491人を数え、隕石が人に被害を与えた初の例となりました。また去年12月18日にはベーリング海上空に小惑星が落下し、空中で爆発したことで広島型原爆の約10倍というエネルギーが放たれていたことが明らかになっています。(参考)
今回の演習では具体的にどのような対策が話し合わえのかは不明なのですが、予想では国民の避難を迅速に行う対策、沿岸地域では小惑星の落下に伴う津波などの対策、また根本的に解決する方法として小惑星を核兵器で破壊したり、交す対策が同時平行に行われるものと考えられます。

根本的な対策方法としては現在いくつか案があるのですが、現実的な方法としては多くは核兵器を用いるものとなっており、アイオワ州立大学が考案したものでは「超高速小惑星迎撃船(Hypervelocity Asteroid Intercept Vehicle、略してHAIV)」という核弾頭を搭載した宇宙船を打ち上げ二段構えで迎撃する方法を発表しています。またロシアでは直径100m程度の小惑星であれば大陸間弾道ミサイルSS-18(R-36M)『サタン』を使用することで衝突する前のわずか5~6時間前に迎撃することが可能だとしてます。