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今月4日北朝鮮が日本海に向けて発射した最大240km飛翔した複数の飛翔体の中に垂直に打ち上げられる弾道ミサイルのような兵器が用いられてました。これに関して韓国メディアなどによると弾道ミサイルなのか否か現時点では判断できていないなどと報じられていることが明らかになりました。

北朝鮮が日本海に向けて発射したミサイルとする朝鮮中央通信の記事の中に、垂直発射システム(TEL)で運用される大型のミサイルが発射される画像を載せ演習内容を紹介していました。これに関して韓国メディア『連合ニュース』によると5日、このミサイルに関して北朝鮮版イスカンデルと呼ばれる地対地弾道ミサイルであると考えられていると報じてます。

北공개 전술유도무기…'북한판 이스칸데르' 미사일 추정(종합) | 연합뉴스

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北朝鮮版イスカンデルとはそもそもどのようなものなのか。これはロシアが開発し2006年から運用している9K720 イスカンデルという弾道ミサイルをシリアから輸入したものを改良したもので、北朝鮮はこのミサイルについて言及は避けているものの『戦術誘導兵器』としています。北朝鮮版イスカンデルについては運用する車輌についてもロシアのものと非常に似ている特徴があります。

ちなみにこのイスカンデルは韓国にも玄武-2(ヒョンム)という弾道ミサイルがあり、このミサイルの開発にあたってはロシアから技術を盗み出した韓国人の話が報道されていたことがあります。

南北露イスカンデル
こちらが韓国、北朝鮮、ロシアのイスカンデルをベースに開発されたと言われる弾道ミサイルです。北朝鮮版イスカンデルについては韓国の大学教授にようると射程は最大で500kmに達するとしており韓国全土を射程内におさめているとしています。

一方、今回北朝鮮が発射した飛翔体については韓国やアメリカでは一部で「弾道ミサイルではない」などと主張されています。この手の兵器には分類があり国によっても扱いは異なるのですが、まず『ロケット』と『ミサイル』の区別については誘導装置が付いていないものがロケット、何らかの赤外線やレーダー、GPSなど何らかの誘導装置が付いているものを『ミサイル』としています。また弾道ミサイルかそうでないかの基準は弾道飛行と呼ばれている放物線を描く軌道で目標に到達するのか否かです。一般的にこの手の弾道ミサイルは宇宙空間(高度100km)以上か、それに近い高度に到達するという特徴があります。

北朝鮮版イスカンデルが弾道ミサイルなのかは何とも言えないのですが、少なくともロシアで運用されているイスカンデルは『弾道ミサイル』に分類されていること、また韓国の玄武-2(ヒョンム)も弾道ミサイルに分類されており、北朝鮮のものだけが弾道ミサイルではないと判断するのはそもそも無理があります。

▼弾道ミサイルではない誘導ミサイル
MGM-140 ATACMS

一方、アメリカが開発した兵器にMGM-140 ATACMSという射程300kmの戦術ミサイルがあるもののこれは弾道ミサイルとは表現されておらず、地対地ミサイルに分類されています。またイスラエルにはLORAと呼ばれる射程400kmの同様のミサイルがあるもののこちらは準弾道ミサイルなどと表現されることがあります。従って明確に弾道ミサイルと判断することが難く、北朝鮮もそれを狙って今回の発射を実施したものと考えられます。