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先月、アメリカで試験されていた民間企業スペースXが開発したクルードラゴンという有人宇宙船の試験中に爆発事故が発生した件に関して、未だに事故の詳細が明らかにならないという異常な状態が続いています。これに関してスペースXの幹部は事故の詳細は避けたものの爆発により宇宙船が破壊されたと口にしていることが明らかになりました。

この事故は先月20日、スペースXが開発し将来国際宇宙ステーションへの人員輸送に使用する有人宇宙船『クルードラゴン』の地上で試験が行われていた際、複数回行われた緊急脱出用のスラスター『スーパードラコ(SuperDraco)』が爆発を起こす事故が発生しました。しかし、その後も事故の詳細は隠蔽されるように一切明らかになっていません。

▼事故の映像とされるもの

これに関してSpaceNewsによるとスペースXの幹部ハンス・ケーニヒスマン氏が事故の様子に関して初めて口にしており記事によると、「スーパードラコの燃焼開始前に異常が発生し宇宙船が破壊された」と述べたとしています。

▼スーパードラコ。爆発の原因は推進剤にある可能性も指摘されている
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その上で、現在判明している内容として「初期のデータではスーパドラコの起動は中に異常が発生したことを示していた」とし、スーパードラコが点火する0.5秒前、つまりスーパードラコが起動する前に何らかの異常が発生したと主張しています。またこれまでスーパードラコの試験は600回ほど行われていたとのことです。

また推進システムの一部になっている圧力容器(COPV)について過去にファルコン9ロケット本体に搭載されていたものが爆発したことについての関連性については、形状や運用が異なるとしCOPVには問題は無かったのではないかという趣旨の発言をしています。


スーパードラコは有人ロケットの打ち上げ時にそのロケットに何らかのトラブルが発生し宇宙船を脱出しなければならない場合にのみ運用されるもので、正常の打ち上げでは一切使用されません。
ただ、そのような爆発を起こす信頼性の低い装置を載せた宇宙船を国際宇宙ステーションにドッキングさせておくということに問題があると考えられ、この宇宙船が今後どのように信頼性の回復を図っていくのか、今年中にも行われるとされていた有人打ち上げにも大きな影響を与えそうです。