浦項迎日湾CO2貯留実証研究_1

大気中二酸化炭素を回収し地中などに貯留する技術『二酸化炭素回収貯留(CCS)』。これに関して韓国では過去に発生した観測史上2番目に強かった地震がCCSにより引き起こされたという誘発地震説が一部主張があったことに関し、政府は関係性は無かったという研究内容を発表しています。

2017年、韓国で観測史上2番目に強い地震『浦項(ポハン)地震』が発生したことをに関して、2019年3月に発生源の近くで操業していた浦項地熱発電所が誘発させたということ結論付ける発表を行っていました。これは浦項(ポハン)地震は人工地震だったということを証明する内容になっているのですが、実はもう一つ、浦項迎日湾CO2貯留実証研究事業も誘発した原因ではないかと疑問視する声が韓国国内で上がっていたといいます。

"포항지진과 무관" 결론났지만…이산화탄소 지중저장 연구 운명은 '안갯속'

これに関して韓国メディアによると、韓国地球物理・物理探査学会は今月24日浦項迎日湾CO2貯留実証研究に関しては地震とは無関係であるという研究内容を発表しました。記事によると地震とCCSの因果関係の調査は2018年11月より始まり、海外の諮問委員会の検証結果も加えられているといしてます。

浦項迎日湾CO2貯留実証研究_2

浦項迎日湾CO2貯留実証研究では二酸化炭素を地中750~800mに貯留する技術として研究が進めているもので、日本をはじめ全世界200ヶ所で同様の関連プロジェクトが進行中だといいます。当然CCSが地震を誘発しているのであれば世界でも同様の地震が発生していておかしくないのですが、検証した結果、二酸化炭素の地下貯留と地震の因果関係は確認できなかったとしています。
ただ、記事によると調べられた施設が200のうちわずか10ヶ所しか無かったとしており、今回の発表では「国内の環境に適したCO2貯留に関連する技術の確保のため」などという文言が入っているなど、CCS事業推進の有効性を改め伝えるような内容も含まれており違和感を感じるところでもあります。


一方で浦項市の市民らは結果については抵抗感を示しているとしており、市の関係者は施設の完全な閉鎖を求めているとも記載されています。また大教授の教授も「CCS事業は地震活動の評価と独自の微小地震モニタリングシステムを備えた上で、地域住民が受ける可能性がある損害を最小限に抑える準備が必要だ」とも主張していると伝えています。

CCSについては国際エネルギー機関(IEA)による2017年の報告書として、温室効果ガス削減に関するパリ条約の目標の達成に必要な削減手段としてCCSの割合が約14%含まれているとしており、いずれにしてもCCSの技術開発は国にとって必要なものとなっているとのことです。