Ascent Abort-2

NASAが近い将来運用を目指す有人宇宙船オリオンに関して、打ち上げ時に宇宙船および乗員を安全に退避させる『打ち上げ脱出システム』の初試験が実施され成功したと報じられています。

アメリカ東部時間午前7時、フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたのは実寸台のオリオン宇宙船のモックアップを搭載した大陸間弾道ミサイル『ピースキーパー』を改良したロケットです。今回の試験はオリオン宇宙船が実際の打ち上げ後にトラブルが発生し緊急脱出を行わなければならない事態を想定した試験になります。

NASA's Orion Crew Capsule Aces Big Safety Test | Space


こちらが先日行われた試験映像です。このように飛行中にシステムを動作させるという試験になるため弾道ミサイルを改造したものに宇宙船とその先端に打ち上げ脱出システム(LAS:Launch Abort System)を搭載し、加速中での動作試験を実施したということになります。

今回の試験では打ち上げから52秒後にLASが動作され40万ポンドの推力でロケットから宇宙船を分離。このとき宇宙船には最大で7Gの重力加速度が発生しました。飛行速度は1300km/hで移動したことで強い大気圧と高い温度が発生したとのこと。
打ち上げから80秒後、高度13,400mでLASからオリオン宇宙船が分離。宇宙船はモックアップであるためパラシュートなどは搭載されておらず、発射場から11km離れた海上に500km/hの速度で落下しました。

NASAによると、今回の一連の試験は成功したとしており900のセンサーから得られたデータを解析し今後のミッションに繋げたいとしています。

▼打ち上げに使用されたLASの一部
9ee52fd4

▼LASの概要
b3323bc4

オリオン宇宙船はNASAが開発している有人宇宙船で打ち上げにはスペース・ローンチ・システム(SLS)という大型ロケットが使用されます。SLSは現在開発中で来年7月には2024年に有人月面着陸を実施するためのアルテミス計画実施に向けて月軌道へオリオン宇宙船を飛ばすミッション『アルテミス1』が計画されてます。