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韓国の一般国民が大統領府に対しあれこれしてほしいと請願を出すことができ、その請願に自由に賛同することもできる国営の『国民請願および提案』。今月5日、輸出規制強化問題を受けて東京五輪ボイコットを求める請願が提出されたものの賛同者が少ない状況が続いてます。

これは韓国の大統領府が運営する『国民請願および提案』というサイトに提出されたもので、「2020年の東京オリンピックボイコットを請願します」というものです。

2020년 도쿄 올림픽 보이콧을 청원합니다. > 대한민국 청와대

請願内容を要約すると請願者の主張として「日本は韓国に対して半導体素材の輸出にブレーキをかけたものの韓国政府は迅速かつ明確な対応策を出していないことに国民の1人として息苦しさを感じている」とし、その対抗措置として日本に屈辱を与えることができる案を提示しています。

▼実際の請願内容
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請願者によると「日本は失われた地位を回復するため東京オリンピックを通じて努力している」「東京地域では放射線数値が未だに高いだけではなく、福島県の食材が安い価格で観光ホテルなどにも提供されているという非公式のデータがある」とし「これを元に東京オリンピックをボイコットすれば他の国の関心を向かせることができ相当な効果を与えられる」などと主張しています。また請願者は「私達(韓国)の幼い選手たちをそのような危険なところには送ってはいけない」と主張しました。

この請願についてはまだ1週間が経っていないものの既に2,100人あまりが賛同しています。パット見た感じかなり多いような気がするものの実際はそうではありません。例として今年5月には文在寅大統領の弾劾を求める請願が寄せられ締め切られる30日の期間中に実に25万人(1日あたり8,300人)が賛同したという記録があります。またこの記録を超えるのは韓国の最大野党である「自由韓国党は解党しろ」という請願で30日間で実に183万人(1日あたり61,000人)の賛同が寄せられるものも存在しています。

国民請願および提案は原則として賛同者が30日以内に20万人以上に到達した場合、政府が請願に対して何らかの解答をしなければならないということになっており、これら2つの請願にはいずれも回答が入っています。

今回の輸出規制強化に関しては韓国メディアが連日報道を繰り返している他、日本のメディアでも多く取り上げられる傾向があり、いかにも韓国人全員が怒り心頭で対抗措置を望んでいるという雰囲気を感じます。しかし、請願を見る限りはそうではなく『国民請願および提案』に寄せられている他の内容を見ても輸出規制強化による対抗措置を望んでいる請願は不思議と少ない印象を受けます。ちなみにこの中で最も多いのは「日本の経済制裁に対する政府の報復措置を要求します」という請願で7月1日に出され現時点で35,000人が賛同しています。

いずれにしても輸出規制強化で韓国企業に対して何らかのダメージが行くことはほぼ間違いないと考えられるのですが、韓国の国民の怒りの矛先が日本に向かうどころか対応の遅れが指摘されている韓国政府に向かう可能性もゼロではなく今後の動向が注目されます。