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何かと事故を起こす事が多い旧ソ連とロシアの潜水艦。今回調査の対象となったのは1989年4月に艦内で発火したことが原因で結果的に沈没したK-278 コムソモレツという原子力潜水艦です。これに関して先日ノルウェー当局が調査を行った結果、採取された海水からは1リットルあたり800ベクレルの放射線が確認されたと報じられてます・。

ノルウェー海洋研究所は今月7日、ノルウェー海のビュルネイ島から180kmの海底に沈没した​旧ソ連原子力潜水艦『K-278 コムソモレツ』に関して、過去にも行われたことがある調査を再び実施し、艦内に差し込み回収した海水サンプルを調査したところ1リットルあたり800ベクレルの放射性セシウム137が確認されたと報じられています。



この調査は1990年代に1回、2007年も1回実施されていたもので、無人潜水機Ægir600を投入しサンプルの回収が行われました。採取地点は複数あり、まず最も高い放射線量が確認されたのは原子炉付近のパイプ付近で採取されたもので、1リットルあたり800ベクレルの線量があったといいます。この数値についてはノルウェー近海の海水は1リットルあたり0.001ベクレル程度であるため、80万倍ほど多いという数値になります。

ただ、ノルウェー当局によると今回の調査を終えて特に問題視するような数値ではなかったとしており、その理由としてパイプから数メートル離れたところでは高い線量は確認できなかったとのこと。

1990年代の調査ではロシアが有人の探査機を用いて放射線を確認したところ、今回最も高い数値がでたパイプ付近で放射能が漏れ出していることが確認されていたため、今回の調査結果からも他の場所からの漏れは無いと考えられています。

K-278 コムソモレツ

K-278 コムソモレツは1984年1月に就役しそのわずか5年後1989年4月に火災により沈没しました。同艦は加圧水型原子炉1基、そして2発の原子力魚雷を積んだ状態で沈没しています。事故の原因については艦内の電気システムがショートしたことで火災が広がり、浮上することができたものの酸素タンクなどが爆発したことで損傷し大量の海水が流れ込み沈没しました。
問題はそれだけではなく事故対応にあたっていた乗員による適切な消火が行われないなど極めて未熟だったことが明らかになっており、潜水艦に搭載されていた脱出用チャンバーの使い方を艦長自身も知らなかったという程度の低さだったことが明らかになっています。

この事故では海に飛び込み凍死した乗員の他、艦長を含め5人が乗り込んだ脱出用チャンバーでも4人が死亡しており、結果的に64名のうち42名が死亡しています。ちなみに先日発生したロシアの小型原子力潜水艦の事故でも乗員の不慣れが事故を拡大したと報じられています。(参考)