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ジャンボジェット機を改造し空中発射ロケットを打ち上げ可能な機体に仕上げたヴァージン・オービット。コズミックガールと呼ばれる母機に関して先日、飛行中からロケット『ランチャーワン』の切り離す試験に成功したと報じられています。

宇宙関連ニュースサイト『NASASpaceFlight.com』によると、現地時間今月10日民間企業ヴァージン・グループのヴァージン・オービットが運用を目指すランチャーワン エアー・ローンチ・システムに関して、発の空中発射ロケットの切り離し試験を行い成功したと報じています。

Virgin Orbit’s Cosmic Girl conducts successful drop test with LauncherOne – NASASpaceFlight.com

記事によると、コズミックガールは発射を想定した燃料満タンの空中発射ロケット『ランチャーワン』を機体左翼下部に搭載しており、午前8時43分にカリフォルニア州モハーベ航空宇宙港から離陸。その30分後、エドワーズ空軍基地近くの空域でランチャーワンを切り離す試験を実施しました。

試験はコズミックガールから発射を想定したランチャーワンが切り離された後どのような挙動を示すかという内容でヴァージン・オービットによると一連の試験は成功したと発表しています。当時コズミックガールを操縦していたKelly Latimer大尉によると『ランチャーワンを切り離した後後に機体がロール(回転)するような動きがあった」と話しており、想定していたとおりの挙動も示したと話しています。

ヴァージン・オービットの宇宙開発

母機『コズミックガール』はジャンボジェットでお馴染みのボーイング747-400をベースとした機体で、元々は旅客機用の大型エンジンを輸送用するため設けられた5つ目のエンジンを搭載可能な『5th Pod』も取付可能な機体を中古で購入し改造したものになります。

▼ランチャーワン(全長16m、幅1.6m)
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搭載されるロケット『ランチャーワン』はコズミックガールにより高度約12kmまで運ばれ機首を25度ほど上げた状態でランチャーワンを切り離します。約4秒後にロケットエンジンを燃焼を開始し高度を上げ宇宙を目指します。
1回あたりの打ち上げコストは1000万~1200万ドル(約11~13億円)としており、この手のロケットとしては非常に安価になっています。ランチャーワン打ち上げ能力は高度500kmの太陽同期軌道に300kg(高度230kmでは500kg)です。比較としてJAXAの強化型イプシロン(1機あたり45億円)は高度500kmの太陽同機軌道に590kgの打ち上げの能力があります。

今回の試験が無事に成功したことを受けランチャーワンの初打ち上げも計画通り行われる可能性があり今年末にも何らかの試験打ち上げが実施されるものと考えられます。

現在民間企業や大学などによる小型衛星の開発が盛んに行われており打ち上げ需要が比較的多い分野とされています。一方で民間衛星を打ち上げる小型ロケットも世界各国で開発が進められており、安価で短期間で打ち上げを行ってくれる即応性の高いロケットが求められています。