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先日早朝、北朝鮮の元山付近から発射された2発の短距離弾道ミサイルに関して、その射程や飛行特性からロシアが2006年から配備した9K720『イスカンデル』の改良型と考えられると報じられています。

韓国メディアSBSによると今月25日、北朝鮮の元山付近から日本海に向け午前5時34分よおび午前5時57分に相次いで発射された何らかの飛翔体に関して少なくともどちらかのミサイルは射程が690kmに達したの対し高度は50kmということから、ロシアが開発したイスカンデルの派生型、いわゆる北朝鮮版イスカンデルのさらに改良型である可能性があるとしています。

北 미사일 690km 비행…정부 "새 단거리 탄도 미사일"

記事によると韓国軍、及び在韓米軍の分析によると、それぞれの射程は430km、690km以上だったとしており、少なくとも690km飛行した方は新型の弾道ミサイルだった可能性が高いとしています。北朝鮮は今年5月にも北朝鮮版イスカンデルを発射しており77日ぶりの発射となりました。

今回の短距離弾道ミサイルに関して韓国航空機大学教授は宇宙に到達しない比較的低空を長距離飛行するという特性がイスカンデルと似ているとし、例えば弾頭の重量を減らすことでさらに長距離を飛行することができるのではないかとしています。

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こちらは今回弾道ミサイルが発射された元山市から約690km(目安)(2019年7月26日現在900kmに訂正)の円です。今回発射された新型弾道ミサイルと考えられる兵器は例えば北朝鮮北東部から発射されたとしても韓国のほぼ全域を射程に収めるというものになっていると考えられます。また韓国との国境に近い南部から発射した場合は福岡県を含む九州地方、また中国地方の一部を射程に収めていると考えられます。

防衛省によると今回の発射について日本の領海には達していないとしているものの具体的にどの地点に落下したのかなど詳細は明らかにしていません。

▼今年5月に発射された北朝鮮版イスカンデル
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北朝鮮版イスカンデルことKN-23は従来型の仕様としてミサイル全体の重量は3,415kg、全長7.5m、直径0.95mで弾頭に500kgの重量を搭載することができると言われています。このミサイルとほぼ同じ形状のものは2006年にロシアが配備したイスカンデルと、韓国企業が韓国政府の指導の元事実上盗み出した玄武-2Bがあります。
ミサイルは液体燃料ロケットではなく固体燃料ロケットと言われており、準備から発射までの即応性が高く(燃料の注入が必要ではないため)、大型の弾道ミサイルにくらべ発射の兆候を掴むのが難しいとされています。


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Photo:Preliminary Analysis: KN-23 SRBM | James Martin Center for Nonproliferation Studies

ロシアのイスカンデルと北朝鮮版イスカンデルが異なっている点としてその一つとして『ケーブルレースウェイ』です。その理由については定かではないもののこのケーブルレースウェイはロシアのイスカンデルにも搭載されているものの北朝鮮版には延長しより弾頭近くまで伸びていることが確認されており、予想では核弾頭の運用も可能とするシステムに設計されている可能性があるという指摘がされています。