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主にアメリカが将来実施する予定を組んでいるのは有人火星探査です。これに関して、現地つまり火星での使用を目的とした宇宙服の開発が進んでいるのですが、先日アイスランドで氷河を登る試験が実施されたと報じられています。

今年7月~8月にかけて実施されていたのは火星での使用のため開発中の宇宙服『MS1』プロトタイプによる様々な試験です。この宇宙服はNASAのマイケル・ライという人物が設計されたものです。実はこの宇宙服、地球上では火星の環境に似ているとしてアイスランドで試験が行われました。

Scientists Test Mars Spacesuit By Climbing a Glacier in Iceland | Space

記事によると、マイケル・ライ氏の説明として「あくまで地球上での使用を意図したものであり、火星での使用を想定した研究目的のため開発されたものだ」としています。これが何を意味しているものなのかは、この宇宙服には生命維持装置などは当然搭載はされておらず、あくまで可動部分やヘルメット、着心地などを評価するためのモックアップになっているという説明と考えられます。

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記事によると試験は今年7月26日~8月5日まで実施され合計7人のチームメンバー全員により行われました。彼らによると着用した全員が「別の世界にきたように感じた」と語っており、まるで別の惑星に来たかのような感覚になったとのことです。

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具体的にどのような試験が行われたのかについては、火星での活動特に土壌サンプルの収集など平地での基本的な動きだったとしています。そして、必要だったのかは不明なのですが、なんとアイゼンとハーネスを用いて氷河を登るという試験も実施されたといいます。この試験については良好な性能を発揮したとし登りきることができたとしています。

今回の試験を終えて「実際に行われる有人火星探査に向けたスーツデザイン開発の参考になることを期待している」と語ったとのことです。

火星と氷河

今回、氷河を登るという試験が行われたということは火星でもこのようなミッションも想定されている可能性があるのですが、そもそも火星に氷河は存在しているのでしょうか。



実は2018年、火星を周回している探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)の観測データから火星の斜面に露出する氷の層を発見したと報じられていたことがあります。厚さは約80mほどあるという観測結果も得られており、探査機では発見できない地域でも氷の層がある可能性があります。

このような一歩間違えば死に繋がるようなミッションが実際に行われる可能性は極めて低いと考えられ、あくまで宇宙服としてのパフォーマンスを探る上で実施されたものと考えられます。

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