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2017年に太陽系を狙撃するかのように通過した天体『オウムアムア』。その後、天文学初となる太陽系外から飛来した恒星間天体であることが明らかになったのですが、なんと観測史上2つ目と推定される天体『ボリソフ彗星 (C/2019 Q4)』が観測されたと報じられています。

Space.comによると今回観測されたボリソフ彗星 (C/2019 Q4)は2019年8月末に発見されたばかりのものでクリミア半島にあるクリミア天体物理天文台『観測施設MARGO』という口径0.65mという小型の望遠鏡により観測され発見されました。

1st Color Photo of Interstellar Comet Reveals Its Fuzzy Tail | Space

発見したのはGennady Borisov氏で、発見当時の距離は太陽からの約3天文単位(1天文単位は太陽と地球との平均距離)にあるとし、地球から見てカシオペヤ座の方角から飛来しているとしています。また先日9月9日~10日かけハワイのマウナケアにあるジェミニ北望遠鏡を用いて60秒間の露光を4回実施し初のカラー写真を撮影することに成功しています。

▼ジェミニ北望遠鏡により観測されたボリソフ彗星
ボリソフ彗星



現在ボリソフ衛星が太陽系の外から飛来したいわゆる恒星間天体であるのかは正確には明らかになっていないのですが、軌道離心率は3.4となっており少なくとも二度と太陽系には戻ってくることはない天体であることは間違いないとされています。

ボリソフ彗星については現在の観測では太陽への最接近は2019年12月10日(日本時間)と予測されており、秒速30.7kmというとてつもない速度で移動しています。ちなみにこの速度は1年間で6.47天文単位移動できる速度で、世界初の恒星間天体となったオウムアムア秒速26.33kmよりも速くなっています。

▼ボリソフ彗星の予想進路
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このような恒星間天体についてはオウムアムア発見以前にも太陽系に飛来していたのは間違いないのですが、近年の観測技術向上もあり発見に至りました。このような特別な天体については今後も発見されていくのではないかと予想されており、観測が進むことで2番目の恒星間天体としてボリソフ彗星が登録されるのではないかと考えられます。