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恒星が一生を終えるときその分岐は恒星質量によって変化します。例えば太陽であれば白色矮星に、もっと大質量の恒星は中性子星やブラックホールになります。これに関してウェストバージニア大学の天文学者チームはブラックホールになりそこねたと考えられる大質量の中性子星を発見したと報じられています。

今回発見されたのは地球から4600光年離れた銀河系内にある『PSR J0740+6620』と付けられた中性子星です。この天体について観測した結果、一般的な中性子星よりも大きく質量も重いことが分かったとのことです。

Astronomers Detect the Most Massive Neutron Star Yet | Space

記事によると、通常の中性子星は直径がわずか10数kmほどしかないもののその質量は太陽質量とほぼ同等程度とされています。しかしJ0740+6620は直径が25kmと6km程度大きく質量が太陽質量の2.14倍もあったとのことです。

中性子星は太陽質量約10~20倍程度の恒星が一生を終える過程で形成されるもので、超新星爆発後に残る中心核が中性子星です。したがって極めて高密度の天体で、角砂糖1つ分に1億トンの質量があるとされ地球上の全人類がこのサイズに押し固められた質量とも比較されることがあります。中性子星には可視光線、電波、X線を発する一般的な『パルサー』、そして超磁場を持ち合わせる『マグネター』があり中性子星の10個に1個つはマグネターになっていると言われています。

一方でさらに重い恒星が一生終える過程で形成される天体としてブラックホールがあります。ブラックホールは太陽質量の30倍以上の恒星が超新星爆発を起こし中心核(中性子星)が自らの重量を支える事ができずにさらに重力崩壊が進んだ先にある天体です。

中性子星とブラックホールの形成にいたる境界は未だにはっきりわかっておらず、今回の発見は天体が目に見える天体として存在可能な限界点を知る上で重要な手がかりになると考えられています。

発見されたJ0740+6620の正確な質量が明らかになったのはJ0740+6620は白色矮星と連星になっており、この2つの天体を地球から見るとほぼ水平に軌道で公転しておりJ0740+6620から発する規則正しい電波がわずかに遅延することで質量を計算することができたとのことです。