コズミックガール

米空軍協会 (AFA : Air Force Association) 2019で、ヴァージン・オービットは創設者リチャード・ブランソン氏はボーイング747を改造した空中発射ロケット母機とロケットを使用した初打ち上げを今年末に実施すると発表しました。

Breaking Defenseによると、現在開発を進めているバージン・オービットの空中発射ロケットシステムに関して、2017年に契約した米空軍の小型人工衛星打ち上げについて今後数ヶ月以内に実施すると発表しました。
ヴァージン・オービットはヴァージン・グループの一つで元々は有人宇宙旅行を目指してるヴァージン・ギャラクティックから分社化した企業です。

Branson: Virgin Launch of First Sat By End Of Year « Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

またブランソン氏は今後の人工衛星打ち上げ計画について同社は最終的にはアメリカ以外にもカナダ、イギリス、及びその他のヨーロッパ諸国に6~8機の空中発射ロケット母機『コズミックガール』を配備し空中発射ロケット『ランチャーワン』の打ち上げを実施したいとしており、その理由については「西側の軍が運用する迅速な人工衛星打ち上げを提供したいことにある」と述べています。また「うまくいけば、敵国に対する抑止力になる」とも発言しています。

▼コズミックガールとランチャーワン
コズミックガールとランチャーワン

ヴァージン・オービットが獲得した米空軍の打ち上げについては空軍宇宙・ミサイルセンター(SMC)が管理する国防総省の宇宙試験プログラムであり一連の小型人工衛星を打ち上げるというものです。この契約については同社以外もロケットラボが今年5月に3つの小型衛星をニュージランドから発射していたほか、民間ロケットの草分け的存在となったファルコン9も今年6月に25基の小型衛星を打ち上げました。

ヴァージン・オービットについては、母機コズミックガールにロケット ランチャーワンを搭載した試験が既に実施されており、今年7月には上空での切り離し試験も成功しており計画としては残すのは初打ち上げという段階に入っています。

▼ランチャーワン(全長16m、幅1.6m)
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スペックとしてはロケット『ランチャーワン』はコズミックガールにより高度約12kmまで運ばれ機首を25度ほど上げた状態でランチャーワンを切り離します。約4秒後にロケットエンジンを始動し高度を上げ宇宙を目指します。
1回あたりの打ち上げコストは1000万~1200万ドル(約11~13億円)とされ、この手のロケットとしては非常に安価になっています。ランチャーワン打ち上げ能力は高度500kmの太陽同期軌道に300kg(高度230kmに500kg)です。比較としてJAXAの強化型イプシロン(1機あたり45億円)は高度500kmの太陽同機軌道に590kgの打ち上げの能力があります。

この手の空中発射ロケットは旅客機が飛び立てる環境であれば上空まで運び発射することができるため地上発射型よりも天候に左右されない柔軟な打ち上げが実施可能という特徴があります。