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皆さんも一度くらいは「牛や豚肉などの赤肉を食べるとガンになる」などと見聞きしたことがあると思います。実はこれらの赤肉とガンなどの因果関係に関して論文を調査したところ摂取によるガンのリスクは証拠が不確実という内容が米国内科学会により発表されました。

これは 米国内科学会(American College of Physicians)が発表してる9月30日付けの内科年報に掲載されたもので、同学会の新ガイドラインによると、成人の赤肉の消費について加工肉・未加工肉ともに「現状を維持すべき」だという提言したと報じられています。

「赤肉は健康に悪くない」 見解覆す新ガイドライン 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

牛肉や豚肉といった赤肉(鳥は白肉)、そしてソーセージやハムなどの加工肉を摂取した場合、ガンのリスクが増すというのは誰もが知っている知識なのですが、実はその知識の裏付けともなる研究に関して、これまで提出されていた数十もの論文を精査した結果、7か国の研究者からなる委員会は赤肉摂取による潜在的なリスクは低く、ガンを発症するなどの証拠は不確かだとする結論が出されたとしています。

赤肉や加工肉がガンのリスクが増すとう研究に関して、今回は「赤肉の摂取を1週間に3回減らすと死者数が1000人のうち7人減る」という結論がでた論文を分析したといいます。しかし、この論文を精査した結果として、いずれも「1000人のうち7人減る」という数値はわずかであり統計的には低い確度しか見いだせていないと主張。またソーセージやハムといった加工肉の摂取を減らすことに関しても循環器障害(血管や心臓等に関する障害)、糖尿病におけるリスク減少は非常に少なく、またその証拠が不確かだとしています。そのうえで、「仮に摂取を控えたところで(ガンなどの)リスクが減少するのかしないのかは判断することはできない」としています。

赤肉や加工肉がガンやその他の病気につながるというのは医療団体がこれら研究を元に主張しているものでWHOについても加工肉には「発がん性がある」、赤肉は「おそらく発がん性がある」としています。したがって、私達の潜在的にもこれら赤肉・加工肉は体に悪いという認識されている方が大半だと思います。

今回の研究や判断はさておき、これら人を用いた病気などの研究は人種など摂取量等がことなりその影響が異なることが知られています。では日本人は赤肉・加工肉の摂取はどう判断されているのでしょうか。

国立がん研究センターによると、
『国際がん研究組織主催の10か国、22人の専門家による会議で赤肉(牛・豚・羊などの肉)、加工肉の人への発がん性についての評価が行われました。評価は全世界地域の人を対象とした疫学研究(エビデンス)、動物実験研究、メカニズム研究からなる科学的証拠に基づく総合的な判定です。その結果、加工肉について「人に対して発がん性がある(Group1)」と、主に大腸がんに対する疫学研究の十分な証拠に基づいて判定されました。』としています。
IARCの評価の基となった全世界地域の論文の赤肉摂取の範囲はおおむね一日50グラムから100グラムで、中には200グラム以上にわたる非常に高い地域もありました。2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63グラム(うち、赤肉は50グラム、加工肉は13グラム)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つです。当センターがん予防・検診研究センター予防研究グループでは、国内の45歳から74歳の男女約8万人を対象に赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて追跡調査を行ったコホート研究の結果を、2011年に発表しています。

同研究は、赤肉・加工肉の摂取量に応じて低い方から高い方に5グループに分けてその後の大腸がんの発生リスクとの関連を検討した研究で、女性では毎日赤肉を80グラム(調理前の重量。調理後は20%程度重量が減少する)以上食べるグループで結腸がんのリスクが高く、それ以下の摂取量ではリスク上昇はみられていません。男性では鶏肉も含む肉全体では摂取量の最も高い第5グループでリスク上昇がみられましたが、赤肉では特に関連はみられていません。また、加工肉については男女ともに関連はみられていません。大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいと言えます。
としています。つまり日本人における赤肉の摂取や加工肉の摂取量では大腸がんについてはそのリスク上昇は肉を大量に摂取した場合にリスクが増すとしており、平均的な摂取量であればガンとの因果関係はほぼみられいないという内容が掲載されています。

もちろん米国内科学会が精査した論文には大腸がん以外にも循環器障害といった分野についても調査されておりこちら側の影響については不明です。

肉であっても魚・野菜も、特定の食べ物を食べ過ぎるという行為はいずれにしてもリスクが増すとされ、赤肉などの摂取で病気を恐れ仮に野菜しか食べないような生活をするとビタミンBなどの栄養をとることが難しくなるとされています。また肉にも含まれる飽和脂肪酸は摂取が少なくなると脳卒中のリスクが増すことが知られてます。