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地上にも降り注ぐ自然由来の放射線『宇宙放射線』があります。宇宙放射線について国際宇宙ステーションに滞在したり旅客機に乗ると地上よりも多く被爆すると言われています。これに関して韓国で初めて航空従事者とガンの因果関係が調査されました。

韓国メディアSBSによると、延世大学医学部とソウル聖母病院の共同研究チームはパイロットやキャビンアテンダントなど航空運送業界に従事する5万9,751人の癌の発生率を分析した結果、ガンの発症率は一般的な公務員や一般労働者に比べ高い傾向があったと報じています。

항공종사자, 백혈병 가능성 2배↑…비행 중 '피폭' 가능성 | SBS 뉴스

研究によると、2002年から2015年までのデータを分析した結果として女性従事者の場合は体全体のガン発生率は公務員と比べ2.227倍高く、一般労働者よりも2.09倍高かったとしています。また男性従業員に関しては一般労働者や公務員とガンの発生率はわからなかったものの、白血病の発症率が公務員の1.86倍、一般労働者の1.77倍高かったとしています。

今回の研究に関して延世大学医学部の研究者によると「航空運送業界従事者については健康レベルは公務員とほぼ同じレベルと言える」「不健康から白血病のリスクが高まったのではなく、ある特定の原因があることが強く示唆されている」とし、その原因は明らかになっていないのですが宇宙放射線の被爆にある可能性があるとしそのリスクを減らす必要があるのではないかと主張しています。


航空機における宇宙放射線の被爆リスクに関しては、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の論文によると、日本の平野部で1日に受ける実効線量は0.001mSvとしているのですが、仮に『日本から欧米の都市をジェット機で往復すると1日足らずの時間で0.1mSv程度の被爆となる』としています。
もちろん私達一般人であれば年に数回、多い人でも十数回程度でありほとんど無視できる被爆線量になると考えられるものの、『航空機に乗ることが職務の一部である乗務員は本邦航空会社の乗務員の場合は年間の実効線量は平均で2mSv前後、最大で4mSv強と推計されているとしています』とのこと。

一般的な旅客機には機体を軽くする必要がある他、一般利用であればほぼ無視できる線量でもあるため機体そのものに宇宙放射線を防ぐ構造というのは取り入れられていません。
論文によると欧州では乗務員の被ばく管理を実践しているとしているとし、具体的にどのような管理なのかは不明なのですが、乗務員に対して年間のフライト回数を制限するなど対策が実施されているものと考えられます。