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スペースシャトル引退後、有人打ち上げ能力を失い長らくロシアに依存するという状態に陥っているアメリカ。実質スペースシャトルの後継ロケットとして開発しているSLS、スペース・ローチン・システム関して初打ち上げがまたも延期される可能性があると報じられてます。

ロシアの宇宙情報サイト『Космическая лента』によると、あくまで一部の専門家によるとNASAが行う月および火星の有人探査の中核を担うスペース・ローチン・システム(以下SLS)という大型ロケットの初打ち上げに関して2021年に延期する必要があると主張していると報じています。

Первый полет SLS сможет быть отодвинут до середины 2021 года

記事によると、まず現在のSLSの初打ち上げスケジュールが「非常に挑戦的だ」と主張しており、現在NASAが公式に定めている2020年末の初打ち上げ予定については準備中に発生するトラブルが考慮されていないと説明しています。

来年実施される『静的燃焼試験』という発射台に設置した状態でエンジンを燃焼させる試験については5~6ヶ月間の時間を要するとしておりこの試験が正常に終了できるのか、試験後の初打ち上げまでの復旧作業にかかる時間も考える必要があるとしています。この初打ち上げまでの各種試験についてはNASAは試験を一部省略する可能性を検討したことが明らかになっているそうなのですが、安全保障諮問委員会がこれを否定したとしています。

▼SLSの派生型
SLS

その上で「ロケットを発射台に置き来年末までに打ち上げられる可能性はゼロではない」としているものの、現在のスケジュールから既存のリスク等を配慮すると「2021年に延期される可能性が高くなってくる」としています。

SLSについては2012年時点で2017年に打ち上げを行うとしていたものの2017年4月には2019年12月に延期されました。結果的にこのスケジュールも延期され現在は2020年末に設定されています。SLSはアメリカが中心となり設置を目指す月軌道の宇宙ステーション『ゲートウェイ』やその後の有人月面着陸などの有人打ち上げ全般のスケジュールにも影響することになり、このロケットの開発の遅れがミッション全体の計画を混乱させることになります。