酒

人間に対して依存性がある飲み物として『酒』があります。酒により脳の特定部位が萎縮するという研究があるのに対して、最近になり脳の特定部位が元々小さいため酒を飲むようになるという新しい研究が発表されました。

簡単にまとめると
  • アルコールの消費は脳の2つの特定部位の小ささが原因の可能性
  • 双子はアルコールを飲む方に部位の萎縮がみられる
  • 部位の小ささは親から引き継ぐ遺伝子により促進される
ワシントン大学で心理学や脳神神経の研究をしている准教授は被験者として双子やアルコール摂取が無い子供、また死後の脳組織を用いた遺伝子分析から飲酒と脳の因果関係について新しい研究を発表しました。

Convergent evidence for predispositional effects of brain gray matter volume on alcohol consumption - Biological Psychiatry

専門用語が多く詳細は難しいのですが、中枢神経系の神経組織のうち神経細胞の細胞体が存在している灰白質(大脳では最も外側に広がる範囲)という部位が小さいことがアルコール消費を引き起こす遺伝的要素があることを示す証拠を見つけたとしています。

准教授によると、研究はアルコールの乱用により灰白質の萎縮を引き起こすという従来の仮設を否定するものではないとしているものの、「アルコール乱用者は元々灰白質が小さいことで結果的にアルコールを消費しやすい傾向がある」とし「遺伝子変異の生物学的マーカーとして利用可能になるのではないか」と話しています。

研究によると、人によって異なるアルコール摂取量は『背外側前頭前野』というおデコの上部に広がる部位と、頭の側面にある『島皮質』という2ヶ所に関連しているとしています。この部位は感情や記憶、認知コントロールや意思決定にも関連している部位です。
飲酒していない子供の時と飲酒をはじめた大人までをCTスキャンした結果、これら部位の遺伝子による灰白質の小ささが大人になってからのアルコールの消費量や若年層での飲酒始めのトリガーになっていることが分かったとしています。

双子を用いた研究では飲酒する人はしない人よりも灰白質の量が少ないことが分かったとしています。ただし、この被験者の灰白質量については双子の双方が少なかったとしており、ここから『灰白質の量が少ない=アルコールの消費が多い』というものではなく、アルコール摂取した結果として脳の萎縮を加速させたのではないかとしています。

アルコールの摂取は親から引き継ぐ遺伝的な灰白質の量の少なさによりアルコール摂取の時期を早めたり摂取量の増加を促す可能性があるとまとめています。