火星15

2017年以降、北朝鮮から相次いで発射された弾道ミサイル。このような弾道ミサイルには射程ごとに『短距離弾道ミサイル』や『中距離弾道ミサイル』などと分けられているのですが、韓国政府は北朝鮮が保有している超長距離弾道ミサイルである大陸間弾道ミサイルは発射台付き車両からの発射能力が完全ではないと判断していると報じられています。

韓国メディア『聯合ニュース』によると今月1日午後に開かれた国会運営委員会で、国家安全保障室長は北朝鮮が保有する大陸間弾道ミサイル(ICBM)に関して移動式発射台(TEL)から直接発射することに関して技術的に不完全なものと判断されると述べたと報じています。

靑 "北,ICBM 이동식 발사기술 완전치 못해…국정원도 같은분석" | 연합뉴스

なぜ今回このようなことを口にしたのか。実は韓国では国家情報院と国防部長官が国会で北朝鮮がTELからの発射技術を習得しているのかについては政府とは相反する説明をしていたらしく、青瓦台(大統領府)と国防部、国家情報院の3者がそれぞれ食い違う判断をしているという指摘がされていたためだとのことです。
国家安全保障室は韓国大統領府に属しており、長官は「(この判断は)国家情報院の国防総省も同じ分析をしている」と指摘に対してわざわざ説明しています。


この食い違う発言がどの様にして出たのかについて韓国大統領府は「国家情報院長の発言はICBMではなく中距離弾道ミサイルをTELから発射した事例はある」とし趣旨のICBMではなく中距離弾道ミサイルのことを述べたに過ぎないとしています。

▼2017年11月に発射されたICBM、火星15
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大統領府によると北朝鮮におけるICBMのTELからの発射技術については、「TELにより弾道ミサイルを運びその後車両から弾道ミサイルを分離したうえで発射した」としており「過去3度の発射からは車両からの直接発射という機能を発揮できていない」と主張しています。したがって、韓国政府は運搬し直立に設置しただけではTEL発射とは判断していないと説明しているとのことです。

北朝鮮が配備していてる水準では車両から直接発射するということが最も効率的でかつ探知も反撃もされにくい方法です。しかし韓国が主張しているのは過去に発射された弾道ミサイルの試験をただ表面上だけで判断しただけであり、必ずしも北朝鮮がTELからICBMを発射できる能力が無いと判断することはできません。むしろ車両に搭載可能でありその車両が垂直に設置している時点でTELからの発射は既に可能だと判断するのが妥当です。

なぜ韓国は北朝鮮を過小評価しているのか。実際のところICBMで狙うのはアメリカなど遠距離にある地域であり隣国の韓国には一切関係がありません。韓国に関しては全土がTELから発射可能な短距離弾道ミサイルの射程に今も収まり続けています。