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生活習慣病の一つ2型糖尿病。糖尿病が悪化すると失明や足の切断また腎不全など極めて重い病を引き起こすことが知られているのですが、2型糖尿病のリスクを軽減するには食後よりも食前の運動がより効果的であると報じられています。

主にご飯やパン、お菓子などに含まれる糖質は血液中の血糖値を上げます。この血液中の血糖を下げようとするのが膵臓から分泌されるインスリンです。インスリンが分泌されると体のあらゆる臓器の栄養として取り込めるようになり、結果的に血糖値は低くなります。しかし、2型糖尿病予備群や糖尿病患者は長年の異常な食生活と運動不足、また遺伝などが原因でインスリン分泌が正常に行うことができなくなり、結果的に失明や足の切断また腎不全などの合併症を引き起こす糖尿病になります。

詳しい内容はさておき、糖尿病を避けるためにはこの異常な食生活の見直しと合わせてインスリンを使用しなくても血糖を下げる運動が有効であることは既に知られています。今回は後者の運動に関する研究です。

これは海外のThe Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに掲載された論文で、血糖を下げるために必要なインスリンの分泌量は食後よりも食前の運動したほうが少なかったという結果が出たとしています。

Lipid metabolism links nutrient-exercise timing to insulin sensitivity in men classified as overweight or obese | The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism | Oxford Academic

研究では肥満と判断された男性のみを被験者として50分間のサイクリングを週3回行うトレーニングを、朝食の食前と食後に行う2つのグループに分け調査を進めました。
その結果、食前にトレーニングを行ったグループは血糖を下げるために必要なインスリンの量が減ったことがわかったとしています。一方で食後に運動を行ったグループでは血糖値を下げるインスリンの量に変化はなかったとのことです。
このインスリンの分泌量が減るということは詳しくは不明なのですがインスリンを分泌している膵臓の負担が減り、結果的に将来の糖尿病予備群や2型糖尿病などの発症を抑制することができるという意味と考えらます。

また食後に運動したグループに比べ食前に運動したグループは脂肪燃焼量が2倍になり、他の健康面でも改善が見られたとしています。


自身の血糖値がどのように変化しているのかリアルタイムで測定するには自己血糖測定器を用いる以外方法はないのですが、Youtubeなどで検索すると食前運動、食後運動、また運動しない場合の血糖値がどの様に変化するのか自身の体で測定している人がいます(ただし今回の研究結果とは必ずしも一致しない?)
不思議なことにサイクリングといった時間と手間がかかるような運動をしなくてもその場でできるスクワットやかかと上げ運動だけで十分な効果が得られることしており、日頃のちょっとした運動でも命をも脅かす2型糖尿病のリスクを抑えられることが分かります。