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アメリカでは当たり前のように民間企業がロケットを打ち上げ、国際宇宙ステーションに物資などを輸送しています。その草分け的存在のスペースXが現在開発しているのはスターシップという超大型宇宙船です。同社のCEOによると、この宇宙船の1回あたりの打ち上げコストはたった2億円になると主張しているそうです。

スペースXのCEOでテスラーモーターでもお馴染みのイーロン・マスク氏は先日、米空軍のイベントに出席しスターシップによる新しい宇宙時代についていくつか詳細を明らかにしました。

Elon Musk says building the first sustainable city on Mars will take 1,000 Starships and 20 years – TechCrunch

簡単に紹介するとスターシップとは一般的なロケットのように垂直に打ち上げられるタイプで、任務終了後は機体ごと地球に帰還するのですが、このとき垂直に着陸します。つまり消耗品を交換したり補給する以外は全体的な再利用が可能な宇宙船です。また宇宙船本体も極めて巨大であり、一度に数十人から100人程度を宇宙に打ち上げることができるとされています。



スターシップの最終目的地は火星となっているのですがこの構想についてイーロン・マスク氏によると、スターシップの最終的な改良型での予想として1回のフライトにかかる費用は200万ドル(約2億1800万円)になると主張しています。これは一般的なロケット、例えば日本のH-2Aでは1回あたりの打ち上げコストが100億円前後していることに比べると極めて安価になっています。またスターシップにおける燃料補給については一回の打ち上げで90万ドル(約1億円)程度かかると見込んでいます。

また火星に自立可能な都市に関して、スペースXの推定によると約1,000機のスターシップの製造が必要だとしており、自立可能な都市が構築されるまでに約20年の時間が必要になると説明しています。この20年という時間は地球と火星が大接近する2年に1回のタイミングでしか打ち上げが実施出来ないことにも理由があるとも説明しています。

この火星都市についてはまだまだ夢物語といったところなのですが、地球におけるスターシップの運用に関してはイーロン・マスク氏によると、機体は再利用が迅速に行えるよう設計されているため1機あたり1日3回のフライトが実施できる見込みがあると説明しています。
これにより1機あたり年間1000回のフライトが可能であり、1回あたり100トンの貨物を軌道上に打ち上げできるため年間1000万トンを地球軌道に打ち上げることも可能だとしています。

もちろんこれはロケットへの貨物搭載時間やメンテナンスなどを考慮するとかなり難しい数値になっているのですが、このようなポテンシャルは一応秘めているということになります。
ただ、現在運用している同じくスペースXのファルコン9ロケットについても再利用が行われているのですが、当初「打ち上げコストは1/100になる」などと主張していたものの、少なくとも現時点でも1/10にもなっていません。

現在、スペースX以外にも安価なロケットの開発や再利用可能なロケットの開発が行われているのですが、近い将来、1回あたり100億円などという高コストのロケットは消え大幅に打ち上げコストを抑えたロケットが登場することはほぼ間違いないと考えられます。