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2011年7月を最後に引退したスペースシャトル。このスペースシャトル用に開発されたエンジンがNASAが開発している新しいロケットSLS、スペース・ローンチ・システム初号機への搭載が完了したと発表されています。

アメリカ航空宇宙局NASAによると、先月末から実施されていたSLS、スペース・ローンチ・システムへの4基のスペースシャトルメインエンジン(SSME) RS-25の搭載が完了したと発表しました。このロケットは2020年7月に予定されているアルテミス計画における最初の打ち上げで宇宙に飛び立ちます。

All 4 Engines Are Attached to the SLS Core Stage for Artemis I Mission | NASA

▼2019年10月23日、1基目のエンジン搭載完了
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今回搭載が完了したエンジンはRS-25Dというタイプです。このエンジンはスペースシャトルに3基搭載されていたSSMEつまりRS-25であり、SLS用に一部改良が施されたのがRS-25Dです。具体的な改良箇所についてはスペースシャトルでは3基により打ち上げが行われていたものを、SLSでは4基構成としています。したがって、ロケットそのものの重量が異なる他、加速度も異なっていること、またエンジンの配置も異なっているためSLSでの使用に適したエンジンとなっています。

▼2019年11月9日、4基のエンジン搭載完了
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SLS仕様RS-25Dの燃焼試験、ノズルから噴出される高温のガスは音速の約13倍


またエンジン出力が変更されており、スペースシャトル打ち上げ時には最大出力は109%としていたものを111%で動作できるよう変更されました。これにより、より重たい貨物を宇宙に打ち上げることができるようになりました。

一方でRS-25Dは元々スペースシャトル用に作られたエンジンをSLSに最適化されたものであり、再使用可能なエンジンとして開発されたものです。SLSは打ち上げ後に一般的なロケットと同じ様に海に投棄されるため再使用という使用は必要ありません。
そこで開発が進められているのは非再使用型のRS-25Eです。このエンジンについてはRS-25Dがすべて使い終わってから搭載していくとしています。

スペースローンチシステムは外部燃料タンク、補助ロケットとも実質スペースシャトルを原型とした派生型ロケットでありNASAが開発したロケットの中ではアポロ計画を成功させたサターンVロケット以降最大の打ち上げ能力があるロケットです。