
アメリカの航空宇宙・軍需大手となるボーイングが開発した有人宇宙船スターライナーの無人試験打ち上げが実施されたもののトラブルが生じた件について、スターライナー側に搭載されたタイマーが誤作動をおこし誤った燃焼を行っていたことが明らかになりました。
簡単にまとめると現地時間20日、ボーイングが開発した有人宇宙船スターライナーはアトラス5ロケットにより宇宙に運ばれたものの、スターライナー側に搭載された機器のトラブルにより予定された軌道に投入することはできず予定されていたミッションを完遂することはできなくなったと報じられています。
- ロケット本体の打ち上げは正常に終了。宇宙船側のロケット燃焼でトラブル発生
- ミッション経過時間を測定するタイマートラブルで異常燃焼実施
- 宇宙飛行士が搭乗していれば国際宇宙に到着できていた可能性
海外メディアによると、打ち上げ後アトラス5ロケットは正常に燃焼を実施し約15分後にはスターライナーの切り離しは正常に終了したといいます。その後、スターライナーに搭載されたエンジンの燃焼を開始。燃焼は40秒間実施されるものの、この時にトラブルが生じたとしています。
具体的にはスターライナーに搭載された『ミッション イプラス タイマー』を追跡する宇宙船内のタイマーに不具合が生じていることを確認。宇宙船内のタイマーがオフになってしまったことで、ミッション経過時間と現在位置を見誤り宇宙船が現在位置を過剰に制御する動作に入ったことで燃料を異常消費してしまったとのこと。結果系に燃料不足に陥ったことで国際宇宙ステーションへのドッキングは中止となりました。
ボーイングによるとミッション担当者は直ちに地球からトラブルを回避するコマンドを送信しようとしたものの追跡衛星の問題により送信が遅れてしまったとのこと。その後、スターライナーとの必要な通信が確立されるまで異常な燃焼が行われてしまったことで燃料不足となったとしています。
今回のトラブルに関して、ミッション イプラス タイマーがなぜこのようなトラブルを起こしたのかその原因が明らかになっておらず、今後同様の無人打ち上げを実施するのかなど今後の予定は未定だとしています。今回のミッションは有人打ち上げ前のリハーサルと位置づけられるほどの重要なものになっていました。
▼打ち上げ前のスターライナー

一方で仮に宇宙飛行士が乗り込み手動で修正することができれば国際宇宙ステーションに到着することはできた可能性があるともしており、宇宙船の回収後に問題が解決できれば有人打ち上げは予定どおり実施可能かもしれないとも説明しています。
今回打ち上げられたスターライナーに関しては予定よりも大幅に早く地球に帰還する予定となっており、現地時間22日(日曜日)に予定されていたニューメキシコ州に着陸する予定としています。
ちなみにスターライナーに関しては宇宙飛行士が見守る中、脱出に関する試験打ち上げでパラシュートの一つが展開しないというトラブルも発生していました。