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大質量の恒星が一生を終える過程で残る天体として中性子星があります。これはパルサーやマグネターといった天体の総称になるのですが、このパルサーに関して高精度の観測を行ったところこれまでのイメージとは全くことなる形態をしていたことが明らかになりました。

アメリカ航空宇宙局(NASA)は国際宇宙ステーションに搭載されたX線望遠鏡NICERを用いてパルサーを観測したところ、従来天体の南北の軸上にある極からこれら電磁波等が放出されていると考えられていたものの、実際は極とは関係の無いエリアから放出されていたことが明らかになったとしています。

NASA’s NICER Delivers Best-ever Pulsar Measurements, 1st Surface Map | NASA



今回観測された天体は『J0030 + 0451』というパルサーです。中性子星は直径が数十kmしかないものの質量は太陽程度ある天体で、パルサーは強い磁場があり可視光線、電波、X線を発する天体で、その中でも超高磁場をもつ特殊な中性子星がマグネターなどと分類されています。

このパルサーに関して初めて高精度の観測を行ったところ、強いX線が放出されているエリアが南半球に集中しており、少なくとも従来のように回転軸付近から真っ直ぐ放出されているというイメージとはかけ離れた天体だったことが明らかになったとしています。

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こちらがこれまでのパルサーのイメージ。回転軸付近に2つの極が存在しており規則正しく電磁波等が放出されることで極めて規則正しく信号として観測されています。

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一方こちらが実際の観測結果から得られたパルサーのイメージです。極は正反対側に存在しているとは限らず複雑な磁場が生じていることが観測結果から明らかになりました。

今回観測に用いられたX線望遠鏡は高速回転するパルサーを100ナノ秒単位で観測することができる装置でどの位置からどのようにX線が放出されているのか調べることができるといいます。
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現在、研究機関によって解析されたものの、放出点(周囲よりも温度が高いホットスポット)は何れも南半球に集中しており合計3つの極がある例、もう一つは回転軸上を挟んで2つの極があるイメージが作られています。何れにしても太陽のように複雑な磁場を持っていることが明らかになりつつあるとのことです。