長征5号3号機

今月27日、中国南部に位置する海南省にある文昌衛星発射場から大型ロケット長征5号を打ち上げ、予定された軌道への投入に成功したと報じられています。このロケットは2017年に行われた打ち上げでエンジントラブルにより失敗していたことで2年あまり打ち上げが中断されていました。

中国国営メディア新華社によると、今月27日20時45分頃中国海南省(海南島)にある文昌衛星発射場で通信衛星『実践20号』を乗せた長征5号が打ち上げられ、静止軌道への投入に成功したと報じています。



今回打ち上げられたのは長征5号の中では長征5号Bというもので、中央のロケット本体の側面に4本の大型ブースターが搭載されています。このブースターにはYF-100というエンジンが搭載されており液体酸素とケロシンを推進剤にした液体燃料を燃焼します。
これにより国際宇宙ステーションが周回しているような地上数百kmの低軌道に25トンの打ち上げ能力があるとされています。

長征5号3号機_1

長征5号は長征2号・3号・4号ロケットを置き換える目的で開発されたもので初打ち上げは2016年に実施。2017年には2号機の打ち上げが実施されたもののロケット本体の第一段エンジン『YF-77』のターボポンプに異常動作が発生したことで予定された軌道に投入することに失敗しました。
その後、このエンジンに搭載されていたターボポンプの再設計が行われ2018年に試験を実施。2019年1月にも再設計されたエンジンでの打ち上げを予定していたものの、再設計されたエンジンに別の不具合が確認され延期されていました。


YF-77は2000~2001年に開発が始まったもので、2007年時点で一連のテストは終わっていたとされています。2号機の打ち上げ失敗後、再設計されたエンジンで再び不具合が確認された2019年3月頃にはロシア側から技術協力を受け問題が解消されていたと言われています。

長征5号は高い打ち上げ能力を利用することで月や火星への探査機の打ち上げを今後行っていく予定です。